星河の覇皇
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第八十五部第四章 メキシコの思惑その一
メキシコの思惑
メキシコ首相アントニオ=ガラサはこの時メキシコ政府の公用車の中にいた、車にはメキシコ国旗も立てられている。
その車に乗りつつ彼は言った。見れば四十代後半で黒い髪を整え奇麗な黒い目をしている面長の男だ。顔立ちは整い美男子と言っていい。
痩せた身体は二メートルを超えている、その彼が向かい合って座る四人用の車の後ろの座席でスタッフ達に話していた。
「朝食の場でもだ」
「はい、政治を進める」
「それが連合の政治ですが」
「まだ六時です」
「それで、ですね」
「ロシア側が受けてくれたことにな」
実にという言葉だった。
「私にしてもだ」
「有り難いですね」
「首相も今何かとご多忙です」
「急遽ロシアとお話したいことが出来ましたが」
「それにロシアが応じてくれて」
「まことによかったですね」
「実にな、受けてくれなかったら」
ロシア側がというのだ。
「さもないとな」
「大統領も外相もご多忙です」
「それも実に」
「首相も今しか時間がありません」
「それで受けて頂けないと」
「ロシア側とお話は」
「国家元首か閣僚クラスでないとな」
とてもというのだ。
「相手が国家元首だとな」
「とてもですね」
「それはですね」
「どうにもならなかったですね」
「どうしても」
「そうだった、だからだ」
それでというのだ。
「今回はな」
「ロシア側が受けて頂き」
「それで、ですね」
「よかったですね」
「まずはですね」
「後は私がグリーニスキー大統領と会談し」
そしてというのだ。
「メキシコとロシアの間でな」
「密約ですね」
「それを結びますね」
「今回の件において」
「そうされますね」
「そうだ、その密約はだ」
それはというと。
「内密だ」
「左様ですね」
「ではですね」
「その密約を結ぶ為にも」
「ここはですね」
「私が行ってな」
グリーニスキーとの会談にというのだ。
「話をまとめよう」
「今回の密約の件を」
「大統領はカナダとケベックのそれにあたられています」
「アメリカに対するそれを」
「若し我が国とアメリカで何かあれば」
その時はというのだ。
「そしてカナダとケベックもアメリカと衝突すれば」
「その時は三国は共にアメリカに対する」
「こうして各国が一同に会しているならです」
「そうしたお話もしやすいので」
「ここで結んでおきましょう」
「いい機会だからな、そして中国にはだ」
ガラサはさらに話した。
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