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八条学園騒動記

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第七百二十九話 カバは狂暴その六

「しかし何処にもな」
「置かれていますね」
「花があるとな」
 それならというのだ。
「それだけでだ」
「まさに華がありますね」
「そうだな」
「ただ飾られていても」
 まさにそれだけでもとだ、上等兵も答えた。
「確かに」
「違うな」
「文字通り華があります」
 日本の薩摩星系の方言は今も使われている、そのうえで話すのだった。
「飾られ至りそこにあったり」
「野の花が咲いているだけでもな」
「随分違います」
「蒲公英が咲いていてもな」
 大尉は自分達の足下を見た、見ればだ。
 その蒲公英が咲いていた、黄色く小さな一輪の花を見て言うのだった。
「違うな」
「はい、ただそこに咲いている」
「それだけでな」
「本当に違いますね」
「花はいいものだ」
「何かです」
 上等兵はシマウマ達を観て話した。
「生きもの達ともです」
「合うな」
「絵になります」
「そうだな、だがここは日本だからな」 
 日本の特徴も言うのだった。
「動物園にも桜の木があるな」
「それもかなり」
「日本人はどんな場所でも桜を植える」
 この木をというのだ。
「そしてだ」
「春になるとですね」
「満開の桜の花達を観るのだ」
「そうしますね」
「桜がないとだ」
 この木そして花がというのだ。
「日本人はだ」
「どうにもならないですね」
「菊も国花だが」
 日本の皇室の花でもある。
「桜もだ」
「国花ですね」
「若し桜の木を植えるなと言われれば」
 そうなると、というのだ。
「日本人はその場所に行かないだろう」
「桜の木がなければ」
「それだけでな」
「行かないですか」
「兎角桜が好きだ」 
 日本人はというのだ。
「どの花よりもだ」
「桜ですね」
「だからこの学園全体にあってな」 
「桜の木が」
「そしてこの動物園にもな」
「ありますね、それもかなりの数が」
「そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「春になるとな」
「桜の花が満開になり」
「日本人はそこに喜びを見出すのだ」
「しかし」
 ここまで聞いてだ、上等兵は大尉に言った。
「例えばこちらはサバンナの生きもの達のコーナーで」
「シマウマや犀のな」
「先程象やキリンも見ましたしハイエナやチーターもです」
 観ればだった。
「彼等のコーナーもありますが」
「この辺りにはな」
「ヌーやガゼルもいますし」
「まさにサバンナだな」
「サバンナの生きもの達に桜は」 
 どうしてもというのだった。 
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