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神々の塔

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第四十七話 諦めないことその五

「一人逃げたら皆続いて逃げて場所が崩壊する」
「そやから逃げるなってやね」
「暴力受ける奴に我慢しろって言うけどな」
「そうした先生がおる部活なんて」
「崩壊させなあかん」
 絶対にと言うのだった。
「ほんまな」
「そやね」
「逃げてええっていうか」
「逃げなあかんね」
「そして腐った場所は崩壊させる」
 そうした暴力教師が顧問を務める場所はというのだ、ブラックな世界というのは企業だけとは限らないのだ。
「悪い場所は潰すのがな」
「正しいことやね」
「というか自分の頃はそうでも」
 暴力がまかり通っていてもというのだ。
「今はちゃう、今は今の倫理観がある」
「そやね」
「そしてそもそも当時がや」
「暴力がまかり通っていたことが」
「その方が問題や」
 こう言うのだった。
「間違ってるんや」
「そやね」
「当時の教育や科学は後でや」
 その時はいいとされていてもというのだ。
「研究されてな」
「間違ってるってわかるね」
「間違ってることを自分の頃はそうだったとか言うのはな」
「アホやね」
「その通りや」 
 シェリルは綾乃の今の言葉をその通りと答えた、そして自分のビールをぐいと飲んでからまた話した。
「そういう奴こそな」
「アホやね」
「学校の勉強が出来んでも」 
 それでもというのだ。
「勉強したらな」
「それで終わりやね」
「それだけのことや、しかしな」
「考え方がそうなんは」
「それこそや」
「アホやね」
「こんなアホがおるからな」 
 実はシェリル達が起きた世界でもこの世界でもそうしたことを言う輩は存在する、愚か者は何処にでもいるということだ。
「世の中あかんねん」
「あらためていかなあかんね」
「生徒を床の上で背負い投げする」
 これは実際に奈良県の公立中学校の剣道部の部活であったことだ。
「何処が教育や」
「暴力そのものやね」
「これは虐待っていうんや」
「虐待がまかり通るなら」
「法はいらんわ」
 そうなるというのだ。
「暴力こそが秩序になる」
「とんでもない世の中になるね」
「暴力と武力はちゃうからな」
 中里は言い切った、自分のビールを飲んでから。
「間違っても」
「武力はコントロールが利く力やね」
「そや、軍隊や警察はな」
「法でコントロールされてるから」
「武力や、しかし自分の感情のままや」
「振るう力は暴力やね」
「軍人や警官の力は武力でな」
 そちらになりというのだ。
「ヤクザ屋さんや学校の先生の力はや」
「暴力やね」
「ヤクザ屋さんの暴力は捕まるが」
 そもそもこの世界の人達は常に警戒されている、悪事を行っているということが明らかであるからだ。 
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