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八条学園騒動記

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第七百二十七話 象の過去その五

「まさにな」
「その通りですね」
 上等兵もそうだと答えた。
「私もそう思います」
「そうだな、私達は武力を持つべきであり」
「暴力は持ってはいけないですね」
「暴力組織ではないのだ」
 軍隊はというのだ。
「決してな」
「武力組織ですね」
「その通りだ、そして生きものへの虐待もな」
「許してはいけないですね」
「今もそうしたことを行う不貞の輩はいるが」 
 それでもというのだ。
「しかしな」
「全体の倫理観としてですね」
「否定されている」
「この国でも」
「強くな、尚三歳の象を虐待死させたサーカス団だが」
 大尉は今度はこちらの話をした。
「他にも多くの象が死んでいてな」
「問題になったのですね」
「そうなって象を用いられなくなって」
「それで、ですか」
「潰れた」
「そうですか」
「長い歴史があったそうだが」
 それでもというのだ。
「それであっさりとな」
「潰れましたか」
「象がいなくなってな」
「それで、ですか」
「潰れたのだ」
「どれだけ象に頼っていたか」
苦い顔で言った。
「わかりますね」
「そしてだ」
「虐待していたか」
「そのことがな」
「わかりますね」
「そうだな、あまりだ」
 こうもだ、大尉は言った。
「生きものを出すのはいいにしてもな」
「酷使、虐待はですね」
「しないことだ」
「そうですね」
「恐怖と苦痛を与え」
 調教においてというのだ。
「そしてだ」
「芸をさせる」
「これは生きものにとってな」
「非常に大きなストレスになりますね」
「身体的にも精神的にもな」
 その両方でというのだ。
「そうなる」
「だからですね」
「そうしたことは当時批判が起こってな」
 そうしてというのだ。
「止めさせられてだ」
「今に至りますね」
「千数百年以上昔のことだがな」
「今もその考えが生きていますか」
「動物愛護のな」
「それはいいことですね」
「私もそう思う、象だけでなくだ」
 今自分達が観ている彼等だけでなくというのだ、象は何匹もいて自分達のコーナーの中で平和に過ごしている。
「どういった生きものでもな」
「虐待はならないですね」
「絶対にな」
「そうですね、私もです」
「虐待はしないな」
「連合の話であっても」
 即ち敵国のというのだ。 
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