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新オズの臆病ライオン

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第三幕その四

「そうだね」
「うん、ゴリラっていったらね」
「バナナよね」
「バナナが大好き」
「そうよね」
「そんなイメージあるよ」
「けれどセロリが一番好きかな」
 このお野菜がというのです。
「僕達は完全な菜食主義者だけれどね」
「そうそう、君は外の世界だとアフリカの生きものでね」
 魔法使いが言ってきました。
「アフリカじゃバナナはないからね」
「オズの国じゃどっちも普通にあるけれどね」
「それでもだね」
「外の世界のこともあって」
 ゴリラは魔法使いに応えました。
「それでなんだ」
「君達はね」
「バナナってイメージが強いけれど」
 それでもというのです。
「実はね」
「セロリの方が好きだね」
「セロリはね」
 このお野菜はといいますと。
「外の世界だとアフリカにもあって」
「野生のものがね」
「僕達もよく食べているから」
 だからだというのです。
「バナナよりもね」
「馴染みがあるね」
「そうなんだよね」
 こう言うのでした。
「本当にね」
「そうだね、ただ」
「ただ?」
「バナナも嫌いじゃないね」
「大好きだよ」
 ゴリラは魔法使いに笑顔で答えました。
「本当にね」
「そうだよね」
「林檎も葡萄もね」
「果物は全体的に好きだね」
「そうなんだ」
「そうだね」
「勿論お野菜も好きだしね」
 こちらもというのです。
「セロリ以外の」
「それでだね」
「毎日そうしたものを食べて」
 そうしてというのです。
「幸せに過ごしているよ」
「そちらのことでもだね」
「うん、ただね」
「ただ?」
「いや、僕達がお肉やお魚を食べるとか」
 そうしたことはというのです。
「誤解している人もね」
「いるかもね」
「狂暴だって思って」 
 それでというのです。
「そうね」
「思っている人もいるかもね」
「実際はそうしたものはね」
 お肉やお魚はというのです。
「全くね」
「君達は食べないね」
「虫もだよ」
「食べないね」
「うん、食べるものはね」
「お野菜や果物だけだね」
「ヴィーガンって言葉があるけれど」
「君達は完全にそうだね」
「そうだよ、それで穏やかにね」
「誰かを傷付けることなんて絶対にしないで」
「暮らしているよ」
「若し皆が君達みたいになれたら」
 魔法使いは心から思いました。 
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