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イベリス

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第百二十五話 品選びその十四

「おかしな政党でおかしな奴が多いってな」
「わかりましたね」
「ああ、けどな」
「それをですね」
「投票した連中はわかってなくてな」
「投票して」
「ああなったんだよ、ただな」
 ここでマスターは咲にこうも言った。
「選びなおすこともな」
「出来ますね」
「間違えてもな、反省してな」
 そうしてというのだ。
「次の選挙ではちゃんとな」
「選びなおすことですね」
「そうしたらいいよ、それが出来るのもな」
「選挙ですね」
「それで民主主義だよ」
 そうだというのだ。
「そうしたものだよ」
「そうですか」
「それでこのこともな」
「覚えておくことですね」
「ああ」
 実際にというのだ。
「そうだよ」
「民主主義はそうしたものですね」
「ああ、それで東京を見てもな」
 東京の政治をというのだ。
「わかるからな」
「それで、ですね」
「嬢ちゃんも勉強してくれよ」
「政治のことを」
「自分で調べてな」
 そうしてというのだ。
「最悪な奴にはな」
「投票しないことですね」
「あからさまな奴いるからな」
「今お話した通りに」
「そんな奴には絶対に投票しない」
「そうすればいいですね」
「それでいいんだよ」
 こう言い切ったのだった。
「ただ絶対に行くことだな」
「選挙には」
「もうそれはな」
 それこそというのだ。
「絶対のことだからな」
「投票しないと駄目ですね」
「誰がなっても同じじゃないんだよ」
 マスターは強い声で言った。
「変な奴が当選したらな」
「変なことになる」
「そうなるからな」
「気を付けてですね」
「そうした奴にはな」
「投票しないことですね」
「その為にもな」
 マスターは咲に心から言った。
「嬢ちゃんも選挙行ける歳になったら」
「絶対に行って」
「そしてな」
「おかしな人に投票しないことですね」
「そうしてくれよ」
「そうします、本当に選挙に行って」
 咲も強い決意を持ってマスターに答えた。
「それで、です」
「そのうえでな」
「変な人には投票しないで」
「少しでもまともな政治になる様にな」
「していきます」
「誰がなっても一緒かっていうとな」
 それはとだ、マスターは言った。
「それはな」
「違いますね」
「ああ、だからな」
 それでというのだ。
「ちゃんとな」
「選挙に行きます」
「行ける年齢になったらな」
「絶対に」
 強い声で言った、そうしてだった。
 咲は紅茶を飲んだ、近藤の話以外にも選挙の話を聞いてそのことを頭に刻み込んだ。そうしてそれもまた人生の糧になることを感じていた。


第百二十五話   完


                    2023・9・1 
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