おぢばにおかえり
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第七十七話 おみちの本その二十九
「難しくないわ」
「ちゃんとわかりやすくて」
「大事なのは」
「その教えをどう実践するかですね」
「そのことよ」
まさにです。
「大事なのはね」
「そういうことですね」
「だから私も難しいことはね」
「言われないですね」
「言わない様にしてるの」
心掛けています、いつも。
「何か難しいことって言い方があるみたいだけれど」
「そんなのあるんですか」
「そうみたいよ」
私もよく知らないことですが。
「簡単なことを言うにも漢字の単語と横文字使ったらね」
「難しくなるんですか」
「はいとかいいえでも」
それで済む様なことでもです。
「ああだこうだとね」
「難しく言えるんですね」
「昔の知識人って言われる人達なんかは」
私が聞いたところによるとです。
「やたらとね」
「難しいこと言ってたんですね」
「文章もね」
「そうだったんですね」
「偉い学者さんとか思想家の人は」
「あれっ、小林秀雄の文章わかりやすいですよ」
新一君はどうかというお顔で言ってきました。
「これが」
「そうなの?」
「はい、一冊読んだんですが」
「新一君小林秀雄読むの」
「この前読みました」
「凄いわね」
思わず言ってしまいました。
「かなり高名な人でしょ」
「思想家、批評家として」
「とんでもない教養の人よね」
「凄いですよ、だから勉強しながら読みました」
「そうしたの」
「モーツァルトとか日本の古代史のこととか」
何か物凄く難しそうです。
ページ上へ戻る