暗殺教室 in Hero
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緑谷出久の暗殺教室28 重い想いの時間
中村「殺せんせー。そーいうのはそっとしときなよ。うちら位だと色恋沙汰とかつっつかれるの嫌がる子多いよ?」
殺せんせー「......仕方ありません。他の人は諦めますよぉ...うう…」
その時、洞窟の方から声がした。
イリーナ「何よ!結局誰もいないじゃない!怖がって歩いて損したわ!」
烏間「だからくっつくだけ無駄だと言ったろ。徹夜明けにはいいお荷物だ」
イリーナ「うるさいわね!男でしょ!美女がいたら優しくエスコートしなさいよ!」
イリーナが烏間の腕を掴んでる…。ふとビッチ先生が生徒達の目線に気づいてか、烏間からコソコソと離れる。
前原「なぁ…うすうす思ってたけど」
倉橋「ビッチ先生って……うん」
不破「明日の朝帰るまで時間あるし…」
一同(くっつけちゃいますか!!!)
結局皆ゲスかった。
出久(あー...なんであの2人はくっつくんだ...?全然怖がってなかったよね!?むしろお互い睨んでいたような...神崎さんは笑顔だけど怖かった...)
出久は悩んでいた。
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前原「意外だよな〜。あんだけ男を自由自在に操れんのに」
茅野「自分の恋愛にはてんで奥手なんだね...」
イリーナ「仕方ないじゃないのよ!あいつは世界レベルの堅物よ!?私にだってプライドがあるし...だからムキになって本気にさせようとしてる間に……そのうち、こっちが…」
男子一同「……う」
杉野「可愛いと思っちまった」
前原「なんか屈辱…」
イリーナ「何でよ!」
出久(イリーナ先生の新しい一面だ...確かに可愛いかも...)
“ゲシィ!!”
出久「いっ!?!?(足踏まれた!?誰!?......隣にいるのは岡野さん......まさかね)」
岡野「...ふんっ...」
イリーナはこう見えて不器用である。積み上げた経験が逆に邪魔で、気持ちに素直になれない...そこで生徒達が立ち上がった。
前原「ま、俺らに任せろって!2人のためにセッティングしてやんぜ!」
中村「いいねぇ!」
イリーナ「…あんた達」
こうして、“烏間&イリーナくっつけ計画”がスタートしたのである。
殺せんせー「では…恋愛コンサルタント3年E組の会議を始めます」
イリーナ「ノリノリね…タコ」
殺せんせー「同僚の恋を応援するのは当然です。…女教師が男に溺れる愛欲の日々…甘酸っぱい純愛小説が描けそうです」
そう言ってはいるが、顔がピンクでいやらしい顔になってるため、明らかにエロ小説を構想している。
前原「まずさぁビッチ先生。服の系統が悪いんだよ」
中村「そーそー。露出しときゃいーや的な?烏間先生みたいなお堅い日本人の好みじゃないよ。もっと清楚な感じで攻めないと」
イリーナ「む、むう清楚か…」
中村「清楚つったらやっぱり神崎ちゃんか。昨日着てたの乾いてたら貸してくんない?」
神崎「あ、う、うん!」
というわけで神崎の服を着てみた。
中村「ほら、服ひとつで清楚……に……」
一同「な、なんか逆にエロい!!」
着てみると明らかにサイズが違った。それに先ほどの服よりも露出度が上がっていた...
菅谷「そもそも全てのサイズが合わないって...」
岡島「神崎さんがあんなエロい服着てたと思うと…」
神崎「〜〜///!!」
出久(こ、これは大変だな...まともに見れないし...)
“ゲシィ!!!”
出久「ぬぉぉ...!?(今度は誰ぇ...!?隣にいるのは......不破さん...!?...え?...まさかまさか......幻覚?)」
不破「見過ぎじゃないかな......」ボソッ
岡野「エロいのは仕方ない!大切なのは乳よりも人間同士の相性よ!」
茅野「うんうんうん!」
殺せんせー「烏間先生の女性の好みを知ってる人は?」
矢田「あ!そういえばさっき、テレビのCMであの人の事ベタ褒めしてた!俺の理想のタイプだ、って!」
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烏間『彼女はいいぞ…。顔つきも体つきも理想的だ。オマケに3人もいる』
テレビに映っているのはアルソ○クのCMだ。あの霊長類最強が3人映っている。
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一同「理想の戦力じゃねーか!!!」
奥田「じ、じゃあ手料理とかどうですか?ホテルのディナーも豪華だけど、そこをあえて2人だけは烏間先生の好物で…」
出久「......昼休み、烏間先生はハンバーガーかカップ麺しか食べてるの見たことないけど...?」
不破「なんかそれだと2人だけ不憫すぎるね…」
一同「ぐぐ…つけ入るスキが無さすぎる……!!!」
前原「…なんか烏間先生の方に原因あるように思えて来たぞ?」
イリーナ「でしょでしょ!」
殺「先生のおふざけも何度無常に流されたことか…」
渚「烏間先生がディスられ始めた…」
出久「烏間先生は本当にイリーナ先生の気持ちに気づいてないんだね...」
渚「君が言う!?」
出久「なんでぇ!?」
殺せんせー「と、とにかく!ディナーまでに出来る事は整えましょう……。女子はタイリングの手伝いを。男子は2人の席をムード良くセッティングです!」
一同「はーい!」
イリーナ「………!」
こうして作戦は決行された...しかし殺せんせーはその計画と同時に、別の作戦も進めていた...
ディナーの時間...
烏間「……なんだこれは」
中村「烏間先生の席ありませーん」
岡野「E組名物、先生いびりでーす」
中村「先生方は邪魔なんで、外の席でどうぞ勝手に食べてくださ〜い」
烏間「……何なんだいきなり?最近の中学生の考えることはよくわからん…」
まとめると烏間先生とイリーナを2人だけ外へ出して外の席で2人だけのディナー、というわけである。
生徒達はすぐに窓際へと直行した。会話は全く聞こえない...が、みんなはそれをみてニタニタしている。
茅野「ねぇ…ビッチ先生が着てるあのショールどうしたの?」
原「売店で買ってミシン借りて、ネット見ながらブランドっぽくアレンジした」
菅谷「原さん家庭科強いもんな〜」
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イリーナ(このショールも社交界じゃ使えない、ディナーのセッテイングも素人...でも...楽しいじゃない...!あんた達、ちょっとだけ大好きよ!)
イリーナは烏間を堕とそうとするが、烏間は暗殺の話のみ...生徒達が思うような話が出ない...
イリーナは思い出す。戦争で家族を殺され、親を殺した兵士に父親の銃で射殺。そんな血みどろの過去を...
そして切り出した。
イリーナ「ねえ烏間...“殺す”って...どういうことか本当に分かってる...?」
すると立ち上がり、烏間先生のナプキンを直したと思いきやそのナプキンにキス…そのキスした部分を烏間の唇につけた...
イリーナ「好きよ烏間、おやすみなさい」
そうしてイリーナは席を離れた。
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出久(えっ...凄いロマンチック...!)
出久みたいな純粋な者はそう言うが...
中村「何よ今の中途半端なキスは!!」
前原「いつもみたいに舌入れろ舌!!」
イリーナ「やかましいわ!大人には大人の事情があんのよ!」
台無しである。
殺せんせー「いえいえ、彼女はここから時間を掛けていやらしい展開にするんですよ。ね♪」
イリーナ「ね♪じゃないわよ!エロダコ!!」
本当に台無しである。
そして外が暗くなっていく...全員がホテルに戻ろうとすると。
殺せんせー「緑谷君!君はまだ怪我が治りきっていません。それで怪我の効果にいい方法があるんですよ!」
出久「はい...?」
殺せんせー「それは精神をリラックスさせることです。夜の海を見て、波の音を聞くのがいいんですよ。だから先生、海の近くに席を用意しております」
出久「じゃあ......行きますね」
殺せんせー「ああ!そうそう!!就寝時間もありますので、1時間しかありませんからね!ちゃーんと時間を有意義に使ってくださいね!!」
出久「???は、はい?」
出久はその席に向かうことに......
渚「分かりやすい...けど、緑谷君は信じて行っちゃった...」
茅野「...殺せんせーだけじゃなくて、何人か一緒に向かってるし...」
ゲスイ奴らが殺せんせーの作戦に乗り始める。
渚「...あの2人がいない......それは分かるけど...他にもいない人が...............まさか」
どれだけ純愛が見れると楽しみにしている殺せんせー...しかし現実はそう甘くないのだ...
出久「なんで2つ?僕のためにセットしてくれたなら1つで十分じゃ...?」
何故か席が2つセッティングされているが、出久は気になりながらも座った。
出久「...(確かにホテルの光で海が見えるし...星もいくつか見える...落ち着くな...OFA...僕はまだまだ分からないことが多い...それに心臓が止まったことであの場所に...もっと強くなればまた会えるのか...?...本当に頑張らないとなぁ...)はぁ......」
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前原「ため息ついてるな。つか、まだ誰も向かわないな」
殺せんせー「うーん...後50分...っ!!誰かが緑谷君の元に!暗くて見づらいですねぇ...誰です!!」
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出久の隣の席に座った者が...
出久「うぉ!?えっ、どうしたんですか、
矢田さん?」
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岡島「矢田!?えっ!?」
殺せんせー「あの2人じゃないんですか...!?あの2人は!?あれぇ!?」
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出久「...どうしたの?」
矢田「...本当に怖かった...緑谷君が死んじゃうかもしれなかったから...辛かった......」
出久「...ごめん」
矢田「でもそれで分かったの。緑谷君がいなくなって悲しくなるのは、単に仲間だけって理由じゃないって...
緑谷君が好き」
出久「......ん?ん?んー...?あの、その好きって意味は?」
矢田「もう!緑谷君を男の子として好きってこと!」
出久「What!?」
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一同「言ったぁぁぁぁぁ......んん!?」
磯貝「なんか2つの人影が全力で緑谷の方に...!」
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矢田「早く答えを出して!来ちゃうから!」
出久「いや、嘘ぉ!?ええ!?はいぃ!?って、来ちゃうって!?答えって言われてもぉ!!」
「「待って!!」」
矢田「むぅ...」
出久「はい!?えっと、神崎さんと速水さん!?」
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殺せんせー(本命来たぁぁぁ!!!)
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出久「な、なんでしょうか?」
神崎「私、修学旅行の時から、緑谷君が好きでした!!」
速水「私、緑谷の事が好き。緑谷の優しさ、強さに惹かれた...!」
神崎・速水「だから付き合いたい!」
出久「????????????......はいぃぃぃぃぃぃぃぃ!?!?!?!?!?」
神崎「あの、矢田さんがどうして...」
矢田「私は誰かのために必死に頑張る緑谷君のことが好きになって〜。バーで助けてくれた時は本当にかっこよかったし...」
倉橋「私は怒ってる事があるなぁ〜」
出久「へぁ!?!?」
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木村「今度は倉橋!?殺せんせー...な、なんか凄いことに...」
殺せんせー「えぇぇ...でも何故ここで一気に!?」
イリーナ「アンタがセッティングしたせいでしょうが。まあ桃花とかが告りに言ったのは私の言葉の影響でしょうね」
殺せんせー「何を仰ったんですか!?」
イリーナ『ターゲットを先に殺せたほうが勝ちなように、相手のことを堕とせた奴が勝ちなのよ』
倉橋「って。だから来たんだ〜桃花ちゃんもそれを聞いたんだよね」
出久「それでどのようなご用件で...」
倉橋「私も緑谷君が好きってこと。鷹岡先生から助けてくれた時からかな〜」
出久「さらっと言いましたね!?それで何怒ってるでしょうか!?」
倉橋「ヴィランと戦っていた時、言ったよね?」
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出久『僕のことなんか放って、みんな逃げてくれ!!頼むから!!!』
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倉橋「なんか、って言ってほしくなかった......もっと大切にしてよ、自分のこと」
出久「は、はい...」
倉橋「それで付き合お?」
出久「......(とんでもないことばかりで逆に冷静になった...)あのですねぇ...」
出久は今、人生初の告白をされた。人生初のモテ期である。
にも関わらず、4人同時の告白......
出久(どうすれば良いの?)
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殺せんせー「そんな事を...そういえばあの2人はイリーナ先生の弟子でしたね...しかし、これで緑谷君が誰を選ぶか...」
前原「人生初の告白だろ、緑谷の過去を考えれば...」
一同「それであれかぁ...」
原(さっきから思ってたんだけど...、私と狭間さんと茅野ちゃん以外のここにいる女子...みんな元気ないよね...?)
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矢田「緑谷君!」
神崎「緑谷君...!」
速水「緑谷!」
倉橋「緑谷君」
4人「誰と付き合う?」
出久は考える。持っている知識を使ってどうすればいいのか。出久はさらっと答えるのは失礼だと感じている。そして恋愛感情というものをよく分かっていない......
出久(ああ...それが答えだ...)
出久は考えている仕草をやめた。そして4人に向き合った...
出久「4人とも...ごめんなさい......」
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殺せんせー「」
野次馬ども「」
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速水「ど、どう...して?」
出久「僕...その感情の意味で好きって言われたの初めてだった。だからすごく嬉しい!それは本当だよ!
...けど、僕はみんなをそういう目で見た事ないのに答えを出すなんてできない。ここで簡単に答えを出したら失礼だと思うんだ。
まして、僕は今まで誰かをそういう意味で好きなった事がないんだ...わからないだよね...
こんな気持ちでみんなの気持ちに応えることは失礼だ。だからごめん...」
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磯貝「緑谷らしい答えだな...過去に色々あったし...それでもちゃんと考えての答えだ。みんな...もう戻ろう。後のことは邪魔しちゃダメだ」
殺せんせー「これも大事な経験です...さて、話が終わったらみんなを暖かく迎えましょう」
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出久がそう話すと、神崎と速水の2人は涙目となっていた...罪悪感が出久を襲う...
しかし何故か矢田と倉橋は何かを考えている様子だった...そして矢田が口を開いた。
矢田「そうだよね...いきなり告白されて、しかも4人同時になんて困るよね。
緑谷君が断ったのは、恋愛を知らないのと私達をそういう目で見た事ないって理由だよね?」
出久「う、うん...」
矢田「私のこと嫌いじゃない?」
出久「嫌いじゃないよ!」
すると矢田が小悪魔みたいな笑みを浮かべた。
矢田「つまりこれから緑谷君に惚れさせればいいって事だよね?」
出久「......ちょっと何言ってるかわからない」
矢田「だって来年が来るか分からないし、殺せんせーとかも今しかできない事を〜とか言うじゃん?緑谷君とまともにいられるのは今年だけ...来年を迎えられても、ヒーロー目指して疎遠になるでしょ...?」
出久「う、うん...」
矢田「はっきり言って緑谷君みたいな人は初めてなの!殺せんせーを殺す事を諦めないように、緑谷君のことも諦めたくない!」
出久(あれ?なんか凄い方向に話が...!?)
倉橋「だよね〜暗殺者がターゲット諦めるとかないよね〜」
出久(それって僕殺されません?)
そして矢田と倉橋が出久の腕にそれぞれで抱きついた。
出久(わぁぁぁぁぁぁ!?!?!?!)
矢田「ビッチ先生から男の人を堕とすテクニックは学んでるから、陽菜乃にも負けないからね?」
倉橋「私も負けないからね〜」
出久「...MAZIKA」
それを見ていた神崎と速水...矢田の意見に確かにと思い、今は2人が出久に抱きついているので嫉妬の気持ちが湧き始める...
ここで引いたらもう見てもらえない。なので...
神崎「緑谷君...私もアピール...す、するから...私を見て...」
速水「見てもらえるようにするから、答えを出して...」
そうして2人も出久に抱きついた。
つまり4人の女子が1人の男子を競うということになったのだ。そんでもってそのターゲットの男子に抱きついている...
出久「は...はは...ははは...嘘じゃないですよね...?ドッキリとか...」
倉橋「凄いことになってるけど本当だよ〜」
他3人「うん」
出久の口から魂が出そうになる。
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下衆ども「ハーレムになったぁぁぁぁ!?!!!?!?!?!?!」
殺せんせー「こんな結果になるとは...まだまだ見守らなくてはいけないですね...!」
出久「は?見てたの...?」
出久の顔が赤くなっていく...そして個性を発動させた...
前原「...やべ」
その後、出久の蹴りで見ていた生徒の大半は吹き飛ばされた...
イリーナ「ーーーって言ったから。桃花達がアンタに言ったのよ。アンタもしっかり受け止めなさい」
出久「は、はい!」
結論を言えば、誰が出久を自分に惚れさせれるのかの勝負になったという事だ。
特別な感情を持つ残りの者は、神崎の気持ちを知っていたため、やはり諦めるべきかと考えていた...
しかしイリーナの言葉と矢田達の行動で、この勝負が激化することになる...
出久は自身の部屋に戻った...
出久「やっと...部屋に戻れた...ちゃんと答えを出さないとな...!神崎さん、速水さん、矢田さん、倉橋さん......マジかぁ...いや、4人が本心を話してくれたんだ。僕は応えなくちゃ...!ちゃんと見ないと...!」
今後のアピールがどんなものかドキドキしているが、出久も恥ずかしながら告白してくれた姿を見ている。
自分も恥ずかしいからと突き放す事をしてはいけないとは思っている。
出久は真面目である。
しかしもう夜。出久はひとまず寝ようとベッドに向かう...するとノック音が聞こえたのだ。ドアを開けた。
出久「岡野さん...?どうしたんですか?」
岡野「...中に入れてくれない?」
岡野を部屋の中に入れた出久...岡野は顔を赤らめて出久を見た。
岡野「緑谷!」
出久「は、はい!?」
岡野「緑谷の事が好き!!だから私も勝負に入る!」
出久「岡野さんが僕を...!?」
岡野「...緑谷に見てもらいたいから...その、少しだけスキンシップし始めてたんだけどさ、今回の旅行で殺せんせーとか周りがさ...神崎ちゃんとかのために盛り上がっていたから、先に気持ち知ってたから諦めようかなって思ってたんだ...」
出久「...はい」
岡野「だけどね、ビッチ先生の言葉と矢田ちゃんの言葉で思ったんだよ。緑谷といられるのは今年だけだって...人のためにとことん頑張って、優しくて...そんな緑谷が好き…!」
出久(うっそだろ...!?えええ!?う、嬉しいけど......まじかぁ...!?)
岡野「その...困るかも知れないけど...決めたから...」
“コンコンッ...”
岡野「えっ...見回り...!?私隠れるから...」
岡野はクローゼットの中に入った。
出久「は、は〜い...あっ、不破さん」
不破「ど、どうも〜、失礼するね」
そう言って中に入ってきた不破。その顔は赤くなっていた。
出久(......なーんか見た光景...いやいや、まさかそんな)
不破「えっとね、早速言うけど、緑谷君のことが好きなんだ...」
出久「............うん...本当に?」
不破「本当」
“ガタッ!!”
不破「えっ!?今クローゼットから...」
出久「き、気にしないで!それで...なんで...?」
不破「えっとさ、まず緑谷君は少年漫画の主人公みたいでかっこよくてさ、それで興味をもってたんだけど、プールの事件の時に助けてくれた時に好きになって...それから緑谷君の言葉とか行動とかもっと見るようになって...あんな事を自然とやれるなんて、本当にカッコいいって思って...だから...勝負ってことなら加わるから...」
出久「わ、分かりました...(どぉすんのぉぉぉぉ!?!!!?!やばいよ!あの4人にどう説明すればいいのぉ!?)」
出久はハーレムになっている状況に喜ぶ下衆ではない。ただこの現状に追いつけずに助けを求めている...
“コンコンッ...”
不破「げっ、まさか見回り...隠れるね」
そしてトイレの中に入った。
出久「......どうぞ......片岡さん...どうしたの...?」
片岡「...なんか顔がずいぶんげっそりしてるけど...平気?」
出久「う、うん」
入ってきた片岡は2人と同じで顔が赤い。それでもう出久は...
出久「(二度あることは三度ある...じゃないよね。三度目の正直だよね!)...ご用件は」
片岡「えっと...緑谷君のことが...好きになりまし...た...うん。だから私も...アピールしていこうかな...って...うん」
出久(...なんでぇ?なんで僕を好きになるのぉ?)
“ガタガタッ!!”
“ゴンッ!!”
片岡「えっ!?クローゼットとトイレから音が!?」
出久「...なんで僕を...?」
片岡「無視!?......えっと、あの友達の件でさ、すごく私の事を思ってくれた時から少し意識し始めてたというか...」
出久「でもあの時渚君も...」
片岡「まあそうだけど、言葉と行動力がすごかったのは緑谷君だし...それに今回の事で心配して一人でバーエリアに来てくれた時は本当に嬉しかったし...私の腕を掴んでいたヴィランから助けてくれた...緑谷君が助かった時は本当に嬉しかった。もうその時から好きって気持ちが明確に...だからいいかな...?他の人にはちゃんと説明するから」
出久「う、うん...」
不破「聞いてから問題ないよ」
片岡「は!?トイレにいたの不破さんなの!?」
岡野「そうそう」
不破「クローゼットにいたの!?」
片岡「ちょっ!?なんで!?」
岡野「私達を3人とも同じ内容だよ」
片岡「...つまり合計7人?」
不破「これは凄い...」
出久「.........(どうしようどうしようどうしようどうよう)本気ですか...?」
3人「巫山戯でこんな話はしない!」
出久「すいません!!!!!!」
ひとまず3人は部屋に戻った。出久はベッドにダイブして寝始める...
次の日、出久はぐっすり
出久「一睡も出来なかった...」
眠れるわけもなく、誰よりも早く部屋から出て、砂浜で朝の海を眺めていた。
出久「海を眺めてたら落ち着けるなぁ...」
出久がボーッと海を見ていると、後ろから砂の中を歩いている足音が...
出久「...あれ」
奥田「お、お早いですね...目の下のクマが凄いですよ!?」
出久「あ、はは...色々ありまして...」
奥田「昨日のことですか...?凄かったですね...皆さん緑谷君を好きな人があんなに......」
出久「うん...責任重大だけど...嬉しいな。僕の事をあんな風に言ってくれる人がいるなんて思わなかったから...」
奥田「そう...ですか...良かったですね...」
奥田の様子が変だ...出久はいくら睡魔が襲ってきていても、それくらいは察した...
出久「...あのどうかしたの?」
奥田「...いえ...」
出久「何かあったなら相談に乗るよ?」
奥田「だ、ダメですよ!そもそもこの状況ですらあの4人になんて思われるか...」
出久「悩んでいる人を放っておけないよ。これで何か言ってきたら僕から話す」
出久は今の状況に困っていたとしても、ヒーローとしての精神は健在。むしろ成長しているのだ。
奥田「...じゃあ...いいですか?」
出久「うん!」
奥田「緑谷君が好きです」
出久(なんでじゃぁぁぁぁ!!!!!!)
キャラ崩壊が起こるくらい出久の頭は混乱に陥る。
奥田「あの...私の国語の勉強のために教えてくれたり、期末では一緒に頑張っていた時間と結果が楽しくて、嬉しくて...今回のヴィランの襲撃で命懸けで私達を救おうとしてくれた緑谷君が......と、とにかく、いつも優しくて強い緑谷君が好きです!!」
出久「そ、そう...あ、ありがとう...まさか奥田さんも僕を...」
奥田「迷惑ですか...やっぱり...」
出久「そ、そんなことないよ。えっと...勝負するってことだよね...」
奥田「は、はい!で、では!!」
奥田はホテルに戻っていった。
出久「...すぅ〜......ふぅ〜......どうしてこうなったどうしてこうなった!?嬉しいよ?嫌われるより全然いいもん。けどさぁ?僕って今結構なクズじゃない?いやクズだ。だって好意を持ってくれている人たちに勝負させてるんだよ?なんか高みの見物をしているみたいになってるじゃん!?やばいやばいやばい!ちゃんと完璧な答え、結果にしないと絶対恨まれる...ハーレムが羨ましいとかの本とか少し見たことあるけどどこがいいの!?あーだめ、もー自信ない。ちゃんとしなくちゃいけないのにもう自信がなくなった...」
「悩んでるね〜緑谷〜声に全部出てるよ?」
出久「...中村さん......どうも」
中村「...ねえ緑谷。みんなアンタが高みの見物の気分になってるとか思ってないよ。だってクソ真面目だもん。それに簡単に決められないことだってことも理解しているはず。簡単に決められたらあっちは困るでしょ?」
出久「ま、まあ...」
中村「それに惚れさせる戦いだから、あっちが行動しまくるのは当然でしょ。緑谷は受け手なの」
出久「...うん」
中村「それか私と付き合わない?」
出久「はいぃ!?」
中村「もう細かい事を考えないで、私と付き合って楽しく暗殺をする生活をする?」
出久「じょ、冗談はやめてぇ!」
中村「冗談じゃないよ。単純かもしれないけど、緑谷がヴィランから命懸けで救ってくれた時、私は緑谷がカッコいいヒーローに見えたんだ。傷だらけになっても、常に私達を助けようとしてくれたあの目...惹かれた...。自分を大切にしない部分は私が治してあげる。だから私と付き合わない?」
出久と中村の唇がくっつきそうなくらい近づく。
出久「......嬉しいよ。それでも僕に気持ちを話してくれた人のことも考えなくちゃいけない。こんな状況初めてだから、本当に分からない...けど、
本気の気持ちなら本気で返さないといけない」
出久は至近距離に顔を赤くするが、目を合わせて答えた。そう答えると中村はぷっ、と吹いた後笑った。
中村「あっはははは!!......こうやって迫られてもちゃんと意思を貫き通しているんだから、もっと自分に自信を持ちなよ。まあ...もし、今私を選んでたら最低だったね」
出久「(中村さんは僕に自信をつけさせるためにわざとこんな事を!?)...ありがとう中村さん、僕が情けないばかりに...」
中村「まあ気にすんなって。まあこれから私達の中からちゃーんと考えてよ?」
出久「...私達?......さっきのは僕に自信をつけさせるための嘘じゃ...」
中村「後半のちょっかいはそのためだけど......気持ちは嘘じゃない...だから合計で5人だね」
出久「...ち、違うんです...」
中村「え?」
出久「5人じゃないんですぅ...」
中村「...............は?」
そしてこの島を離れる時が来た...
矢田・倉橋「緑谷君〜」
速水「緑谷」
神崎「緑谷君」
岡野「緑谷!」
不破「緑谷君!」
片岡「緑谷君...」
奥田「み、緑谷君!」
中村「緑谷〜......うわ、マジでこれは凄い...」
8人「......えっ、増えてない?」
全員集合である。
出久「......あの...えっと...」
中村「4人の後にその3人が加わって、今日の朝に奥田ちゃんと私。だから9人になったんだよね〜」
出久(今思ったら倍以上だし!?)
8人(ライバルがこんなに増えた...)
いざ全員集まるところを見て、出久はこの先の生活がどうなるか不安な気持ちになるしかなかった...
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岡島「殺せんせー...なにあれ」
前原「女子の8割が1人の男子の周りにいるんだけど...」
岡島「...9人いるぞ」
前原「な...」
殺せんせー「純愛...なんでしょうかねぇ...?恋のバトルは燃えますね!!先生初めての光景で困っちゃう!!」
殺せんせーはもう受け入れた。
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律(緑谷さんの戦いを私は見ていました...その時周りの人たちの反応、緑谷さん感情を...そして緑谷さんに告白した時の皆さんの感情を分析しました...
何もできない無力な自分に対しての“怒り”
ただ守られて、仲間が傷ついていくのを見るしかできない“悲しみ”
自分に対しての怒りとは別の、仲間を傷つけようとする敵に向ける別種類の”怒り“
愛おしい人に告白する心、”愛“
愛おしい人を奪われたくないと思う”嫉妬“
そして
どんな時でも守ろうと、助けようとする”慈愛“
私はこの旅行だけで、感情というものを理解し始めました...しかしほとんどが負の感情...これを最初に覚えるのは良くなかったのでしょうか...
こう思っていることが”悲しい“ということでしょうか?
緑谷さんが傷ついていく時、私は何もできない機械...解決案が浮かびませんでした。無力でした。
これが自分に対しての”怒り“でしょうか?
分かりません。
でも全部というわけではありません。わかったことがあります。緑谷さんがこれ以上傷つくと、皆さんが悲しみます。皆さん泣いていました。
暗殺成功率が下がってしまうという、そんな理由ではなく、仲間を失ってしまうと思っていたから...いろんな情報を分析しましたが、同じような展開の本がありました。その時には表していた感情は“恐怖”。
皆さんは仲間が死んでしまうという現実に恐怖を覚えていたのでは?
...なんとなく分かってきた気がします。
そして今後の方針として、皆さんのサポートはもちろんですが、特に緑谷さんの事をバックアップしたほうがいいと考えました。
彼は慈愛の心が強すぎる。
緑谷さんを助けられるように“慈愛”の精神を学びましょう...
緑谷さんを助けられる“愛”を学びましょう...
緑谷さん
私はまだ感情という意味を知っただけで理解はまだまだ出来ていません。
ですが
私にとって、あなたが一番印象に残っている人なんです。
初めて会った日もずっと私を気遣い、私に協調という大切な事を、優しい顔で教えてくれました。
授業参観の時にははっきりと大事なクラスメイトと言ってくれました。
あなたを考えると、うまく思考が回りません。むしろオーバーヒートしそうです。これが...?いえ、まだ断定するのは早いでしょう。
だからもし私が感情を理解できた時には
誰よりも貴方を支えてみたいと思います。
ふふっ、これが負けたくないという嫉妬...でしょうか。どうかこれからも私に感情というものを教えてください)
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