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暗殺教室 in Hero

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緑谷出久の暗殺教室25 渚の時間

出久が飛び出した後の渚たちの方では...

鷹岡「...チビ。お前1人で登ってこい。この上のヘリポートまで...」
 
茅野「渚、ダメ...行ったら......!」
 
渚「行きたくないけど......行くよ。あれだけ興奮してたら何するかわからない。話を合わせて冷静にさせて...治療薬を壊さないよう渡してもらうよ...それに早く解決しないと緑谷君が危ないかもしれない...」
 
烏間「渚君...」
 
茅野「渚…」
 
カルマ「...」
 
渚はヘリポートまで登った。すると鷹岡は登る用の梯子を倒した。誰もここに来させないという意味だろう...


鷹岡「......足元のナイフで俺のやりたい事はわかるな?この前のリターンマッチだ」
 
渚「...待って下さい鷹岡先生。闘いに来たわけじゃないんです!」
 
鷹岡「だろうなァ。この前みたいな卑怯な手はもう通じねぇ。一瞬で俺にやられるのは目に見えてる...だがな...?一瞬で終わっちゃ俺としても気が晴れない。だから闘う前に...やる事やってもらわなくちゃな...」

謝罪しろ。土下座だ」
 
鷹岡は自身を王様のように振る舞う。
 
鷹岡「実力が無いから卑怯な手で奇襲した。それについて誠心誠意な...!」
 
渚は言われるがまま素直に膝をついた...
 
渚「...僕は...」
 
鷹岡「それが土下座かぁ!?バカガキが!!頭こすりつけて謝んだよぉ!!」
 
渚はまた素直に頭を地面につけた。
 
渚「...僕は実力が無いから卑怯な手で奇襲しました...ごめんなさい」
 
鷹岡「おう。その後で偉そうな口も叩いたよな…出ていけとか!!ガキの分際で!大人に向かって!生徒が教師に向かってだぞ!!」

鷹岡は渚の頭を踏みつけた。そしてぐりぐりと力を入れる。
 
渚「ガキのくせに、生徒のくせに、大人に、先生に生意気な口を叩いてしまい、すみませんでした。本当に...ごめんなさい」
 
渚は何も悪くないのに土下座されている...生徒たちははらわたが煮え繰り返そうになる... 
 
鷹岡「よーし。やっと本心を言ってくれたな...父ちゃんは嬉しいぞ...褒美にいい事を教えてやろう。あのウイルスで死んだ奴がどうなるか...スモッグの奴に画像を見せてもらったんだが、笑えるぜぇ?全身デキモノだらけ...顔面が葡萄みたいに腫れあがってな...
 
見たいだろ...?渚くぅん?」
 
 
すると鷹岡はスーツケースを空中に放り投げた...!
 


烏間「まさか!?や、やめろぉぉぉぉ!!!」
 
 
そしてその叫びは叶わず、鷹岡は起爆リモコンを押した...
 
”ドガァァン!!!“

スーツケースが空中で爆発し、治療薬が辺りに飛び散る...

渚も鷹岡以外の全員も信じられない光景に唖然とする...絶望する。
 
渚「あ、あぁ...」

渚は感染している寺坂を見た...
 
鷹岡「クククッ......きひひっ...あーひゃっひゃっひゃっ!!!そうっ!その顔が見たかったぁぁ...夏休みの観察日記にしたらどうだぁ?お友達の顔面が葡萄みたいに化けていく様をよぉ!?!?ヒャハハハハハハハハハハハハハ!!!!」
 
渚「はーッ.........はーッ...はーッ」

渚は地面に置いてあった本当のナイフを持った...


 
 
渚「殺す......殺...してや...る!」
 
鷹岡「ククク...そうだ。そうでなくちゃなァ...!」




渚「殺してやる...!!よくも皆を...!!」
 
鷹岡「はははは!!その意気だァ!殺しに来なさい渚くぅん!!」
 
片岡「渚...キレてる!」
 
吉田「俺らだって殺してぇよ...!けど、渚の奴、マジで殺る気か!?」
 
怒りで周りが見えていない渚に寺坂は渚に向かって、スタンガンを投げた。
 
寺坂「チョーシこいてんじゃねーぞ渚ァ!薬が爆破された時よ…テメー俺を哀れむような目で見ただろ!いっちょ前に他人の気遣いしてんじゃねーぞモヤシ野郎!ウイルスなんざ、寝てりゃ余裕で治せんだよ!」
 
磯貝「寺坂…!お前……!」
 
寺坂「そんなクズでも息の根止めりゃ殺人罪だ!テメーはキレるに任せて百億のチャンス手放すのか?」
 
殺せんせー「寺坂君の言う通りです渚君。その男を殺しても何の価値も無い!そいつに治療薬の知識はない!下にいた毒使いの男に聞きましょう!」


鷹岡「...おいおい。余計な水差すんじゃねぇよぉ!本気で殺しに来させなきゃ意味ねぇんだ。このチビの本気の殺意を屈辱的に返り討ちにして…初めて俺の恥は消しされる...」
 
 
殺せんせー「...渚君。寺坂君のスタンガンを拾いなさい。その男の命と先生の命。その男の言葉と寺坂君の言葉。それぞれどちらに価値があるのか考えるんです」

磯貝「寺坂!」
 
寺坂は体力の限界が来たのか、倒れ込んでしまった。
 
吉田「おまえ...これ熱やべぇぞ!」
 
木村「こんな状態で来てたのかよ...!」
 
寺坂「......うるせぇ。見るなら...あっちだ。...やれ渚。死なねぇ範囲でブッ殺せ...」
 
 
渚はスタンガンをベルトに挟み、来ていた上着チャックを閉め、袖をまくる。右手には本物のナイフを持っている。
 
茅野「殺せんせー...渚、スタンガンしまっちゃったよ...」
 
鷹岡「ナイフ使う気満々だな...安心したぜ。一応言っとくが!薬はここに3回分ほど予備がある...渚くぅんが本気で殺しに来なかったり...下のやつらが俺の邪魔をしようものなら...こいつも破壊する」
 
岡野・千葉「っ!」
 
鷹岡「作るのに1ヶ月はかかるそうだ...人数分には足りないが...最後の希望だぜ?」


殺せんせー「...烏間先生。もう大分精密な射撃が出来るでしょう。もし渚君が生命の危機と判断したら...迷わず鷹岡先生を撃ってください...それに本来時間をかけすぎるわけにはいきません...」
 
烏間(先々まで見通せるこいつがここまで言うとは...今までになく危険な状況という事か...いや俺が見ても間違いなくまずい...!時間をかけすぎない...緑谷君か...!奴が呼んだヴィランによっては本当に不味すぎる...!)



渚がナイフを構えて鷹岡攻撃を仕掛ける。しかし以前とは別物の鷹岡は渚の攻撃を避けて、容赦なく攻撃を叩き込む。

渚が先に暗殺に持ち込もうとしても、鷹岡が戦闘に引き戻す...鷹岡は狂気に満たされて隙がない...最初から戦闘モードである。

鷹岡「へばるなよぉ?さぁて、そろそろこれを使うかぁ〜」

鷹岡も本物のナイフを持って、ニタニタと嗤う。

“ドゴォォォン!!!!!”

すると遠くから大きな音が聞こえた。方向はウイルスで倒れている生徒達の方だ。

鷹岡「頑張ってるのかな緑谷くぅんはぁ?」

速水「み、緑谷...」

木村「マジで不味いんじゃ...!」

鷹岡「(あの時のナイフが頭から離れねえ...そっからさらに狂い始めた...最初に狂わせたあのクソガキはヴィランに殺されるぜぇ!)手足切り刻んで標本にして愛でてやるよぉ!!」

茅野「烏間先生!もう撃ってください!渚死んじゃうよ、あんなの!」
 
寺坂「...待て。手出しすんじゃねー...」
 
寺坂だけは他の者と違い、落ち着いている。
 
カルマ「まだほっとけって寺坂...?そろそろ俺も参戦したいんだけど...」
 
寺坂「カルマ。テメーは練習サボってばっかで知らねぇだろうがよ...渚のやつ、まだ何か隠し玉持ってるよーだぜ」


ロヴロから教わった、“必ず殺す”技...この技の条件は3つ。


1つ、武器を2本持っている事。
 

2つ、敵が手練である事。
 

3つ、敵が殺される恐怖を知っている事。
 

渚(よかった。全部そろってる。鷹岡先生...


実験台になって下さい)
 
鷹岡「...!!」

渚は初めて鷹岡と戦った時のように、笑みを浮かべながら歩き始める...

タイミングはナイフの間合いのわずか外。接近するほど相手の意識はナイフに集まる。

その意識ごと...ナイフを空中に置くようにすて…そのまま


“パァァァン......”


その瞬間鷹岡の頭が真っ白に爆発し、後ろに倒れ始める。

鷹岡(なにが...おこ...ったぁ...!?)

教わった渚の必殺技は“猫騙し”。ただの猫騙しではない、タイミングを合わせ、極限まで過敏になった神経を音の爆弾で破壊する技である。

暗殺者は、その数瞬を逃さない。
 
流れるように2本目の刃を抜くが早いか。

“バチィ!!!”

スタンガンを鷹岡に浴びせ、膝から崩れる。

鷹岡(まさ...か...こんなガキ...にぃ...!?)

渚は鷹岡の首元にスタンガンを突きつけた。


渚(殺意を教わった。
抱いちゃいけない種類の殺意があるって事。その殺意から引き戻してくれる友達の大切さも。
殴られる痛みを。
実戦の恐怖を。
この人から沢山の事を教わった。
酷い事をした人だけど、それとは別に、授業への感謝はちゃんと言わなきゃいけないと思った...

感謝を伝えるなら...)


鷹岡(やめてくれ...!その顔で終わらせるのはやめてくれ...!まだもう1人のガキの苦しむ姿も見られてないのに...!

もう一生...

その顔が悪夢から離れなくなるぅ...!)


渚は笑った。


渚「鷹岡先生...ありがとうございました」

鷹岡「ぁぁ...!」

“バチィ!!!”

鷹岡は重力のままに倒れた。


磯貝「ボス撃破!!」

一同「よっしゃぁぁ!!!!」

渚の勝利に喜ぶ生徒達。渚の元へ向かう。

殺せんせー「よくやってくれました渚君...今回ばかりはどうなるかと思いましたが...安心しました」
 
渚「うん。僕は平気だけど...でも、どうしよう...皆への薬が...鷹岡先生から奪った分じゃ全然足りない...その前にヴィランが...!」

烏間「ああ...ヘリを呼んだから、毒使いを他の者に任せて俺達は緑谷君達の元へ行く!そして避難をさせるんだ!」

そう指示して、各自が行動を起こそうとした時、背後から複数の足音が聞こえた。



ガストロ「てめえらなんかに薬なんか必要ねえ!ガキ共...このまま生きて帰れると思ったか?」
 
一同「!!」

3人の殺し屋が待ち構えていた。生徒達、そして烏間は戦闘態勢になる。
 
烏間「お前たちの雇い主は既に倒した。戦う理由はもう無いはずだ。俺は充分回復したし、生徒達も充分強い。これ以上、互いに被害が出る事はやめにしないか...?」
 
ガストロ「ん。いーよ」
 
吉田「諦め悪...え?...いーよ?」
 
 
ガストロ「ボスの敵討ちは俺らの契約にゃ含まれてねぇ。それに今言ったろう?そもそもお前らに薬なんざ必要ねーって」
 
スモッグ「お前らに盛ったのはこっち。食中毒菌を改良したものだ。あと3時間位は猛威を振るうが、その後急速に活性を失って無毒となる。...そしてボスが使えと指示したのはこっちだ。これ使えば、お前らマジでやばかったがな」
 
グリップ「使う直前に3人で話し合ったぬ。ボスの設定した交渉期限は1時間。だったら、わざわざ殺すウイルスじゃなくとも取引は出来ると...」
 
スモッグ「交渉法に合わせて多種多様な毒を持ってるからな...お前らが命の危険を感じるには充分だったろ?」
 
岡野「でもそれって、アイツの命令に逆らってたって事だよね?お金もらってるのにそんな事していいの?」
 
ガストロ「アホか。プロが何でも金で動くと思ったら大間違いだ。

勿論依頼人クライアントの意に沿うように最前は尽くすが、ボスはハナから薬を渡すつもりは無いようだった。

カタギの中学生を大量に殺した実行犯になるか...プロとしての評価を落とすか...どちらが俺らの今後にリスクが高いか、冷静に天秤にかけただけよ」

スモッグ「ま、そんなワケでお前らは残念ながら誰も死なねぇ。その栄養剤患者に飲ませてやんな。倒れる前より元気になったって感謝の手紙が届くほどだ」

スモッグからビンを貰った。すると烏間が呼んだヘリが来た。

ガストロ「俺らもヴィランの顔を拝みてえからついて行ってもいいか?」

烏間「なに!?お前らも知らないのか!?」

ガストロ「ああ、だがボスはそいつに緑谷ってガキを殺させるつもりらしいがな」

一同の顔が青くなる。鷹岡は本当に出久を殺そうとしているのを理解したからだ。

そして全員でヘリに乗る。生徒達がホテルにいるみんなが無事だと祈る。鷹岡に勝っても喜んだのは一瞬...山を降りてホテルに向かっていると...

“ズォォォォォォオオオオ!!!!”

突如大きな風の音と共にヘリが大きく揺れた。


烏間「どうしたんだ!!!」




パイロット「海辺の方から突風が!」

全員が窓の外を見る。そして絶句した...ホテル近くの海辺で、巨大な爆発らしきもので大きな砂煙が上がっていたからだ。しかもそこは患者の生徒達がいる場所のすぐ近くだった...


渚「緑谷君...みんな...!!」


暴風が収まり、ヘリはホテルに向かい始める。そして、海辺に着いた...

2mほどの男がいた。


「ああ?何だお前ら?」



数分前...

「お前らのことは...なんつー名前の中学だっけ?言われたのはそこのE組の奴らを殺せってだけだ。


それに殺し屋?


ちげえよ。


俺は世間でいう...


ヴィランだ...!」

ヴィランの腕が奥田に向けられた...

“バチバチィ!!!!”

その時緑色の稲妻が奥田をヴィランの攻撃から救った。


奥田「み、緑谷君...!?」

出久「無事でよかった!!!(一か八かの作戦で降りてよかった!!)」

出久がホテルから飛び降りた後、地面スレスレで地面にスマッシュを撃って、風圧で怪我をせずに降りれたのだ。それを繰り返して一気にここまで辿り着いたのと、奥田が少しでも時間を稼いでくれたおかげである。


出久「あのヴィラン...どこかで...!!」


律「リストにありました。一年前、ヒーローウォーターホースを殺害して、指名手配中のヴィラン...

マスキュラーです...!」

出久(本当のヴィランじゃないか!!どうする!?ここにいるみんなを避難させるには時間を稼がないと!

......いや、稼ぐんじゃない、倒さなくちゃいけないんだ!!

殺せんせーが元に戻るのは明日の夕方...それに長い時間逃げさせて無理に身体を動かしてしまえば、ウイルスがどう変異するかわからない!!!)

マスキュラー「おお!?知ってるぜ!お前緑谷だろ!!あのおっさんがお前を殺せば好きにしていいって言ってたんだよ!」

出久「(みんなを守りつつ...1人で本物のヴィランと...!やれるか本当に...!?...やってみせる!!)大丈夫......みんな!助けるから!!逃げて!!!」

竹林「...緑谷...!早くみんなを運ぶんだ!僕らにはそれしかできない!!」

奥田「は、はい!!!」

個性を発動する出久。竹林と奥田、そして防衛省の園田が患者の皆を運び始める。


マスキュラー「...ヒーロー志望か?どこにでも現れて、正義面しやがる...さて...お前を殺すとするかぁ!!!血ぃ見せろぉ!!」

マスキュラーは個性を発動させて出久に殴りかかった。出久が冷静に両手を使い、攻撃を捌いて避けた。

しかし、マスキュラー攻撃が地面に当たると風圧で出久は吹き飛ばされた。

出久(烏間先生の防御テクニック学んでおいて本当に良かった!!あんなのまともに防いでいたら骨が折れていた!!)

マスキュラー「やるなぁ!まだ中坊だろ!よし!!遊ぼうぜぇ!!!!」

マスキュラーの蹴りが出久の腹に突き刺さる。そしてテラスの屋根に激突して落ちる。頭から血を流してしまう...


マスキュラー「血だぁ!!!いいなぁ!!何だっけぇ!?助けるんだろぉ!?」

出久(あの筋みたいな個性...なんて威力と速さだ...!?考えろ...!どうやったら奴を...!)


岡島「み、緑谷...!俺ら...助けるために...!」

神崎「逃げ...て...!」


出久(...!僕は半年で暗殺者として学んできた...でも今は違う...ヒーローを目指す者として...ここから先には行かせちゃいかないんだ...!!)


暗殺者としてではなく、ヒーローになる者としての戦いが始まる...

そして暗殺者しか知らない生徒達は


ヒーローとヴィランの戦いがどんなものか...忘れられない記憶となる...

 
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