暗殺教室 in Hero
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緑谷出久の暗殺教室21 異変の時間
殺せんせー「いやぁ。遊んだ遊んだ。お陰で真っ黒に焼けました」
一同「黒すぎだろ!!!」
殺せんせーの顔は本当に日焼けなのかわからないレベルで黒かった。ど怒りよりも黒い...
出久「今笑ってるんですよね?怒ってませんよね?」
殺せんせー「だから日焼けですってば。そんな黒いですか?」
出久「歯も黒くなってる時点でやばいと思いますが...」
磯貝「じゃ殺せんせー。飯のあと暗殺なんで」
殺せんせー「はい、船上レストランですね。行きましょう!」
村松「どれだけ満喫してんだ。あのタコ」
寺坂「こちとら楽しむフリして準備すんの大変だったのによ」
吉田「ま、今日殺せりゃ明日は何も考えずに楽しめるじゃん」
村松「まーな!今回ぐらい気合い入れて殺るとすっか!」
そしてレストランは船の中にあるため、移動した。
磯貝「夕食はこの貸切船上レストランで、夜の海を堪能しながらゆっくり食べましょう」
殺せんせー「なるほど。まずはたっぷりと船に酔わせて戦力を削ごうというわけですか」
磯貝「当然です...!これも暗殺のためですから...!」
殺せんせー「実に正しい!ですが...そう上手くいくでしょうか。暗殺を前に気合いの乗った先生にとって、船酔いなど恐れるに...」
一同「だから黒いよ!!!」
殺せんせー「そ、そんなに黒いですか?」
中村「表情どころか前も後ろもわかんないわ」
片岡「ややこしいからなんとかしてよ」
殺せんせー「ヌルフフフ。お忘れですか皆さん!先生には脱皮がある事を!黒い皮を脱ぎ捨てれば...ほら!元通り!」
殺せんせーは月一の脱皮をして、黄色いタコの姿に戻った。
殺せんせー「こんな使い方もあるんですよ。本来は“ヤバい時”の奥の手ですが」
出久「......ありがとうございます...」
殺せんせー「え...あっ...あああああ!?!?!?」
自分で勝手に戦力を減らしてくれたことにうっかりお礼を言ってしまった出久。そしてガチで凹む殺せんせー...
片岡「なんでこんなドジ殺せないんだろう...」
夕食を食べながら、生徒達は今日の為に練りまくった計画を頭の中で確認している...
そして遂に暗殺をするための目的地に辿り着いたのだった。
殺「にゅやぁ…酔いましたぁ...」
前原「殺せんせー。メシのあとはいよいよだ」
菅谷「会場はこちら。このホテルの離れにある水上チャペルだ」
チャペルの中に入ると、触手の破壊権利を得たメンバーと、テレビを設置した三村と岡島がいた。
三村「さ、席につけよ殺せんせー。」
磯貝「ここなら、逃げ場はありません」
岡島「まずは映画鑑賞から始めようぜ」
出久(あの動画...割と喋ったな...殺せんせー...一応今から暗殺するから口にはしないけど...ごめんなさい!)
殺せんせー「君たちの知恵と本気の努力...それを見るのが何よりの楽しみです...!全力の暗殺を期待しています!!」
菅谷「セッティングご苦労さん」
三村「頑張ったぜ。皆が飯食ってる間もずっと編集さ」
殺せんせー(このチャペルは周囲を海で囲まれている。壁や窓には対先生物質が仕込まれている可能性もある。脱出はリスクが高い。チャペルの中で避けきるしかないようですね...)
渚「殺せんせー。まずはボディチェックを。いくら周囲が水でも、あの水着を隠し持ってたら逃げられるから」
殺せんせー「入念ですねぇ。そんな野暮はしませんよ」
渚は直に先生の体を触っている。
しかしここで攻撃したところで、殺せんせーは余裕でかわすことは全員が承知の上だ...
だが今回の暗殺なら殺れる...!
そう生徒達は思っている。
岡島「じゃあ始めるぜ殺せんせー!」
岡島はチャペル内の電気を消した。そして三村が編集した映像が流れ始める。
『AC...』
プロジェクトACが始まった。
『椚ヶ丘中学...3年E組...あろうことかこの学級の担任教師は暗殺のターゲットである』
殺せんせー(後ろでチャペルを出入りしていますね...位置と人数を明確にさせないためですね。
しかし甘い...2人の匂いがここにないことが分かってますよ?チャペルの外...あそこの森の中から、E組切手のスナイパーの千葉君と速水さんの匂いがしてきます...
しかしこの動画よくできている...編集とナレーターが三村君ですか。カットインや選曲が素晴らしい。ついつい引き込まれて...にゅ?)
『我々調査隊に極秘情報を提供して下さった方々に来て頂きました。そして...
買収は失敗した』
テレビには、虫のコスプレをしたまま、エロ本の山の上でエロ本を読んでいる殺せんせーが映された。
殺せんせー「失敗したぁぁぁ!!!?!?」
『最近のマイブームは熟女OL。この本は全てこのタコが1人で集めたエロ本である』
殺せんせー「違っ!?ちょっ岡島君達!皆に言うなとあれほど!!」
画面が変わり、今度はケーキバイキングの列の動画だ。
『お次はこれだ。女子限定のケーキバイキングに並ぶ巨影...誰であろう、奴である』
残念な殺せんせー『殺子よ...』
『バレないはずがない。女装以前に国家機密という意識があるのだろうか」
従業員に押さえられた女装の殺せんせーが画面に映っており、それを見ている殺せんせーは顔を手で覆い隠した。
狭間「エロ本に女装って恥ずかしくないの...ど変態」
『分身でティッシュ配りに行列を並ぶ。そんなに取ってどうすんのかと思いきや...何と唐揚げにして食べ出したではないか。教師...いや、生物としての尊厳はあるのだろうか?
ここでこの教師の生徒である緑谷さんから、この哀れな行為について解説してもらいました』
緑谷『よろしくお願いします』
出久(緊張して何回も撮り直しちゃったんだよなぁ...申し訳なかった...)
緑谷『まず一言で言えば...嘆かわしいとしか言えません』
殺せんせー「な、嘆かわ...」
緑谷『えー...まずはこのエロ本を読んでいた時の状況ですが...ーーーーー』
と事細かく解説されていった...
殺せんせー「やめてぇぇぇ!!このシーンだけでどんだけ考察を重ねているんですか!?その頭は他のことに使ってくださいよ!!」
緑谷『ーーーとなる。実に嘆かわしい。それで次のバイキングのーーー』
殺せんせー「本当に全部解説する気ですか!?あと、嘆かわしいをそんなに言わなでくださいよ!?」
『生徒にここまで言わせる行為をするこの生物...こんなものでは終わらない。この教師の恥ずかしい映像を1時間たっぷりとお見せしよう』
殺せんせー(あと1時間もぉぉぉ!?!?)
1時間後
殺せんせー「せんせー死にました...あんなの知られてもう生きていけません...」
『さて、秘蔵映像にお付き合い頂いたが...何かお気付きでないだろうか?殺せんせー!』
と、映像の最後に問い掛けられた瞬間、殺せんせーが足元の異変に気付いて即座に立ち上がると床全体に水が流れていた。
殺せんせー(誰も水など流す気配はなかったのに!?...まさか...満潮!?)
寺坂「俺らまだなんにもしてねぇぜ。誰かが小屋の支柱を短くでもしたんだろ」
中村「船に酔って恥ずかしい思いして海水吸って...だいぶ動きが鈍ってきたよね」
席を立った権利者は一斉に銃を構えた。
寺坂「さぁ本番だ。約束通り、避けんなよ」
殺せんせー(ここまで全て計画通りということですか...やりますね。しかし狙撃手のいる方向は分かっている。そちらにさえ注意すれば...)
律「作戦...開始!」
殺せんせーの10本もの触手を破壊した直前、突如チャペルが破壊された。渚、茅野、竹林、原が水上ボードで引っ張り破壊したのだ。
そしてすぐ、床の周りからフライボードに乗った生徒達が現れて殺せんせーを囲った。
殺せんせー(水圧の檻...!!)
倉橋「そうそう、もっといっぱい飛び跳ねて〜!下から逃げられないようにね~」
倉橋がイルカ達を誘導して飛び跳ねさせて退路をさらに減らしていく。
そして律の本体がチャペルの中に現れて銃火器を構える。
律「一斉射撃を開始します。目標、殺せんせーの周囲、全周1m!」
そう言って殺せんせーの周りを撃ち始めた。殺せんせーは当たる弾に敏感であるため、あえて当てずに退路を塞いでいく。
“バチバチ!!”
殺せんせー「っ!!」
出久がOFAを使い、チャペル内を動き回りながら、殺せんせーの周囲に撃っていく。
出久(OFAフルカウル!6%!!)
殺せんせー(弾幕の包囲だけでなく、緑谷君を常に動かせて意識を向けさせようとしている...!そして緑谷君は足音を無駄に大きくさせている...!生徒同士のコミュニケーションが聞こえない!!)
中村「かーらーの」
出久(止めの一撃!!)
水中に隠れていた千葉と速水が銃を構える。山からの匂いは2人のダミーである。
死角からの射撃を放った。
律「ゲームオーバーです♪」
殺せんせーは直感とも言える感じで振り返った。その時には2人が撃った銃弾が目の前に来ていた。
殺せんせー(よくぞ...ここまで...!!)
狙撃と同時に殺せんせーの身体が閃光とともに爆発して目の前から姿を消した。
その爆発によってE組の生徒達が海へと吹き飛ばされる。海に囲まれた小屋だったから幸い怪我はなかったが、殺せんせーの暗殺で直接的な被害を受けたことなんて一度もなかった...
今までの暗殺とは明らかに違う殺った手応えを感じていた。
烏間「油断するな!奴には再生能力もある!磯貝君、片岡さんが中心になって水面を見張れ!」
そうして警戒体制に入っていると、茅野が何かを見つけて指を挿した。水面から泡が出ていたのだ。
そして...
殺せんせーの顔が入った透明とオレンジの変な球体が浮かび上がってきた。
殺せんせー「これぞ先生の奥の手中の奥の手、完全防御形態です!」
一同(完全防御形態!?)
殺せんせー「外側の透明な部分は、高密度に凝縮されたエネルギーの結晶体です。肉体を思い切り小さく縮め、その分だけ余分になったエネルギーで肉体の周囲をガッチリ固める。この形態になった先生は正に無敵!」
矢田「そんな...ずっとその形態でいたら殺せないじゃん」
殺せんせー「ところがそう上手くは行きません。このエネルギー結晶は1日ほどで自然崩壊します。その瞬間に先生は肉体を膨らませ、エネルギーを吸収して元の身体に戻るわけです。裏を返せば結晶が崩壊するまでの約1日、先生は全く身動きが取れません」
出久「...でも逆に言えば1日は何もできない」
殺せんせー「ええ。これには様々なリスクを伴います。最も恐れるのは、その間に高速ロケットに詰め込まれて遥か遠くの宇宙空間に捨てられることですが...その点は抜かりなく調べ済みです。24時間以内にそれが可能なロケットは今世界の何処にもない」
そこまで考え抜かれた計算...完敗の意味を表していた...
寺坂「チッ、何が無敵だよ。何とかすりゃ壊せんだろ、こんなもん」
そう言いながら手にした殺せんせーをレンチで殴るが、殺せんせーはビクともしない。
殺せんせー「ヌルフフフフ、無駄ですねぇ。核爆弾でも傷一つ付きませんよ」
当然ながら殺せんせーは余裕である。
カルマ「そっか〜、弱点ないんじゃ打つ手ないね」
そう言うと、カルマは携帯に写していた殺せんせーがエロ本を読んでいる時の写真を見せた。顔を覆えないので見るしかない。
カルマ「そこで拾ったウミウシもひっ付けとくね。あと誰か不潔なオッサン見つけてきてー。これパンツの中に捩じ込むから」
殺せんせー「いやぁぁぁぁ!! 助けてーッ!!」
誰もが呆れている中、出久は...殺せんせーを掴んだ。そして個性を発動させた。
出久「...別にロケットがなくても宇宙に飛ばせれば...!」
杉野「飛ばすって...お前まさか投げる気か!?」
殺せんせー「なるほど。しかしそれはリスクが高すぎる。いくら君の全力でも宇宙までには届かないでしょう。それにその作戦は君の身体を犠牲にする行為...よくありませんねぇ」
出久「...はい」
烏間「取り敢えず皆は解散だ。上層部とコイツの処分法を検討する」
殺せんせー「ヌルフフフフ、対先生物質のプールの中にでも閉じ込めますか?無駄ですよ。その場合はエネルギーの一部を爆散させて、さっきのように爆風で周囲を吹き飛ばしてしまいますから」
殺せんせーの言葉に烏間先生は苦虫を噛み潰したような表情となる。
殺せんせー「ですが皆さんは誇って良い。世界中の軍隊でも先生をここまで追い込めなかった。皆さんの計画の素晴らしさです」
そう言って殺せんせーは烏間先生に連れていかれてしまった。残された生徒は一先ず海から上がることにする。
いつものように暗殺を褒めてくれたが、全員の渾身の一撃を外したショックが空気を支配していた。
そうして異常な疲労感とともにホテルへ戻った。
ホテルに戻ると何人かは異常と言えるくらいぐったりしていた。
千葉「律。記録はとれてたか?」
律「はい。可能な限りのハイスピード撮影で、今回の暗殺の一部始終を」
千葉「...俺さ。撃った瞬間わかっちゃったよ。“ミスった。この弾じゃ殺せない”って...」
律「断定はできません。あの形態に移行するまでの正確な時間は不明瞭なので。ですが、千葉君の射撃があと0.5秒早いか、速水さんの射撃があと標的ターゲットに30cm近ければ、気付く前に殺せた可能性が50%ほど存在します」
速水「...やっぱり」
千葉「自信はあったんだ。リハーサルは勿論、あそこより不安定な場所で練習しても外さなかった。だけど、いざ...あの瞬間、指先が硬直して視界も狭まった」
速水「...同じく」
千葉「絶対に外せないという重圧プレッシャー。”ここしかない!“って大事な瞬間...」
速水「...こんなにも練習とは違うとはね」
出久「2人ともお疲れ様...ごめん、もっと殺せんせーの意識を削いでいれば...」
速水「ううん。緑谷のせいじゃない...」
出久「...ありがとう。それなら僕も2人のせいとは思わない。みんなで反省だね」
速水「...ありがとう緑谷」
千葉「...良かったな。明日1日は遊べるぞ」
速水「っ!?」
出久「?...みんな疲れすぎじゃ...顔も赤いし...」
前原「しっかし...疲れたわ〜」
三村「自室帰って休もうか、もう何もする気力ねぇ...」
寺坂「んだよてめーら。1回外した位でダレやがって。もー殺ること殺ったんだから明日1日遊べんだろーが」
岡島「そーそー!明日こそ水着ギャルをじっくり見んだ〜!どんなに疲れてても全力で鼻血出すぜ〜」
前原「そんな元気ねぇよ...」
するといきなり中村が倒れた。そして岡島があり得ないほどの鼻血を出した。
2人だけではない、数人の生徒が倒れたり、苦しみ始めた。
烏間「っ!?これは...フロント!この島の病院は!?」
フロント「い、いえ、なにぶん小さい島なので...」
その時、烏間の携帯が鳴った。
烏間「非通知か...?」
『やぁ先生。可愛い生徒が随分苦しそうだね...俺のことは知らなくて良い。賞金首を狙ってるのは君らだけでは無いということだ』
烏間「...まさかこれはお前の仕業か?」
『ククク...人工的に作り出したウイルスだ。感染力はやや低いが、一度感染したら最後...潜伏期間や初期症状に個人差はあれ、1週間もすれば全身の細胞がグズグズになって死に至る...』
烏間「っ!!」
『治療薬も一種のみのオリジナルでね。あいにくこちらにしか手持ちが無い。渡すのが面倒だから…直接取りに来てくれないか?山頂のホテルの最上階まで、1時間以内にその賞金首を持って来い。だが、先生は腕が立つそうだから危険だな。そうだな、動ける生徒の中で最も背が低い男女2人に持って来させろ。フロントに話は通してある。約束を守れば賞金首と、薬の交換はすぐに済む。だが、外部と連絡を取ったり、少しでも遅れれば...即座に治療薬は破壊する。礼を言うよ。よくぞそいつを行動不能まで追い込んでくれた。天は我々の味方のようだ...』
そう言って電話は切られた...
烏間(こんな時に第三者が狙って来るとは!)
出久「ふざけるな...!」
出久は血管が浮き出るほど怒っていた...
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この島に向かっている船が一つ......
「...やっと着くか...ちっ、この俺に依頼たぁ良い度胸だな...まあ内容は好きだから良いけどな。
俺のやりたいようにやってやる...」
男は凶悪な笑みを浮かべていた。
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