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神々の塔

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第四十三話 新選組その八

「暗殺か冤罪ふっかけて」
「処刑やな」
「最低でも打ち首や」
 上士の身分だがというのだ。
「そうしてや」
「晒し首やな」
「そうしてたわ」
 絶対にというのだ。
「西郷さんも伊藤さんも山形さんもな」
「そんな人等絶対に嫌うな」
「どの人も身分低かったしな」
 伊藤に至っては元は農民であった。
「それで身分を傘に着てな」
「弱いものいじめばかり嬉々として」
「残虐にな」
「しかも志士をよおさん殺した」
 土佐藩のだ。
「尚且つ能力もや」
「ない」
「龍馬さんと比べると比べ様もなくな」
 そこまでというのだ。
「低い、それでや」
「その人等が生かしてく理由あるか」
「精々利用してや」 
 駒として、というのだ。
「それが終わったらな」
「始末やな」
「それで歴史には屑としてな」
 その様な者達としてというのだ。
「書き残す」
「そうするな」
「実際屑やしな」
 そうした創作での彼等はというのだ。
「そやからな」
「始末してたな」
「生きる価値すらない様な描かれ方やったしな」
 板垣退助や後藤象二郎は時としてそこまで描かれてきたのだ、しかもそれを真に受けた人もいたりする。
「そうしてたわ、しかしな」
「実際のあの人達はあの人達でな」
 リーが応えた。
「傑物やった」
「人格も能力もな」
「弱い者いじめもせんかった」
「そんなんする様な人達やなかった」
 ただし子供の頃の板垣はかなりやんちゃだったという。
「それで後藤さんが龍馬さんとはじめて会ったんは」
「長崎やな」
「因縁なんてな」
 二人の間にはというのだ。
「それこそな」
「なかったな」
「そやった」
 その実はというのだ。
「その時に初対面同士でな」
「因縁があるか」
「龍馬さんが長崎で後藤さん見て因縁じゃのうという場面があったが」
 坂本龍馬を主人公にした漫画でだ。
「実際は盟友で幼馴染みやった武市さんを取り調べたことにも関わってたが」
「直接はやな」
「因縁もなくてな」 
 それでというのだ。
「この人かいな位しかな」
「思ってなかったか」
「そやったと思うわ」
「そうなんやな」
「まして板垣さんなんかは」 
 彼はというのだ。
「生涯会ったこともなかったし同じ志士でな」
「同志やったな」
「中岡さんっていう共通の知り合いもおって」
 陸援隊隊長として龍馬の盟友であり板垣とも親しくなっていたのだ、板垣は討幕派の中でもはっきりと言う者であって彼とは気が合ったのだ。 
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