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八条学園騒動記

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第七百二十三話 狼へのイメージその八

「大きさは色々ですが外見は」
「狼に似ているな」
「シェパードの様に」
「そうだな、だからな」
 それでというのだ。
「そこからもわかる、犬はな」
「狼が家畜となったものということが」
「家畜になる様な生きものがそうそう人を襲うか」
「それはないですね」 
 上等兵もそれはと頷いた。
「確かに」
「だからエウロパのそうしたことはな」
「狼を悪魔の様に考えていることは」
「間違いだ」
「そうですね」
「その証拠に連合の狼男は人を襲わない」
「エウロパのものとは違い」
 上等兵も言った。
「そうしたことはですね」
「しない」
「人を襲わない狼男ですか」
「エウロパでは考えられないな」
「満月の下で変身し」
 上等兵はエウロパでの狼男の話をした、これは千年以上も前から欧州で定着している狼男についての考えである。
「銀の十字架を溶かした銃弾でしか死なず」
「そして人を襲い喰らうな」
「そうした魔物ですが」
「それが連合ではな」
「違うのですね」
「満月の下でなくとも変身する」
 そうだというのだ。
「朝でも昼でもな」
「何時でもですか」
「変身してな」
 そうしてというのだ。
「銀の十字架を溶かした弾丸でなくともだ」
「普通の攻撃で死にますか」
「そしてだ」
 そのうえでというのだ
「何と言ってもな」
「人を襲わないですね」
「そうなのだ」
「全く違いますね」
「そうだ、まことにな」
「エウロパの狼男とは違いますね」
「その姿こそがだ」
 連合の狼のというのだ。
「正しいと言える」
「エウロパのそれは誤解ですね」
「放牧をしていて羊や豚を襲うからな」
「悪役にされたのですね」
「だから童話でもだ」
 そちらでもというのだ。
「そうした生きものを襲っているのだ」
「三匹の子豚等でもですね」
「そうなっている、しかし農業が主でな」
 そうした社会でというのだ。
「放牧ではなく牧場に囲っているとな」
「悪い存在とは思われない」
「そうなるのだ」
「しかも人を襲わないので尚更ですね」
「その通りだ、どんなものにも正しい認識を持たないとな」
 大尉は狼のことからさらに話した。
「誤ってしまう」
「正しい認識を持たないと」
「偏見を持つとな」 
 正しい認識を持たないことをこう言い換えた。
「過つ」
「そうしてですね」
「それは我々にとってはな」
 薩摩星系の方言でしかも自分達の素性を隠して話した。 
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