八条学園騒動記
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第七百二十三話 狼へのイメージその三
「国の象徴にさえだ」
「なっていますか」
「そうなのだ」
「そこまでの生きものですか」
「あのかつて世界を席巻した彼等にとってな」
「怖ろしいまでに強く暴虐だった」
「その彼等のな」
敵に対する容赦のなさはエウロパではこの時代でも言われている。
「祖先とされていてな」
「今も象徴とされている」
「そこまでの生きものだ」
「そうですか」
こう上等兵に話した。
「面白いことですね」
「そうだな」
「国によって違うんですね」
「同じ連合の中でもな」
「連合といえば」
この国の話をだ、上等兵はした。
「各国の権限が強いですね」
「三百以上の国があってな」
「それぞれが外交権まで持っている」
ただしその外交はおおむね連合内部に限られている、マウリアやサハラ各国という連合の外の国々に対しては大使館を置いている程度である国が殆どだ。
「そこまでの権限がありますね」
「そして各国ごとの文化もあってな」
「モンゴルではですね」
「狼は誇り高い生きものとしてだ」
「国の象徴になっていますか」
「そしてだ」
そのうえでというのだ。
「祖先とさえだ」
「言われていますか」
「そして連合全体でな」
「狼は嫌われていないですね」
「シートン動物記だが」
大尉はこの作品の名前も出した。
「狼王ロボの話があったな」
「狼と人の勝負ですね」
「野生のな」
そしてその人とはシートン本人である。
「知恵比べ、攻防だったが」
「そのロボは嫌われていないですね」
「妻だったビアンカと共にだ」
夫婦共にというのだ。
「気高い生きものとしてだ」
「書かれていますか」
「そして今もな」
この時代でもというのだ。
「連合ではロボはな」
「そう思われていますか」
「他の生きもの達もな」
シートン動物記に書かれているだ。
「その彼等もだ」
「誇り高い生きものとしてですね」
「書かれていてだ」
そうしてというのだ。
「そしてだ」
「連合では人気がありますね」
「そうだ、連合は人も生きものも同じ命とだ」
その様にというのだ。
「考えている」
「それはありますね」
「そうだな」
「何処か平等だと」
「自然の中にあるな」
「文明もですね」
「自然の中にあるとな」
その様にというのだ。
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