ハッピークローバー
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第百一話 怪我をしないことその十三
「そんな余裕あったのかな」
「普通そこまでしていたら」
一華も思った。
「脇目も振らずだし」
「ないよね」
「ええ、ただね」
一華は思った、ここで。
「嫉妬って嫌な感情よね」
「持ったことない人もそういないよね」
「嫉妬せずに済んだら」
それならと言うのだった。
「それだけでいいわね」
「幸せだね」
「嫉妬する位なら努力する」
「それが出来たらいいね」
「それだけでも幸せよ」
こう達川に言うのだった。
「本当にね」
「俺も思うよ、嫉妬なんてしないことだよ。感じても」
その感情をとだ、達川は言った。
「けれどね」
「それでも努力する」
「嫉妬をそちらに変えたらね」
「いいわね」
「嫉妬したり僻んだりとか」
そうした感情を持つことはというのだ。
「誰でもあっても」
「それがずっとあることはね」
「それだけで不幸なことだよ、それ位なら」
「本当に努力することね」
「何かあってもね、野球でなくても漫画でなくても」
大谷翔平そして手塚治虫のことを考えつつ言った。
「自分のやってることでね」
「努力するればいいわね」
「必死にね。努力は嘘を吐かないから」
それ故にというのだ。
「絶対に実を結ぶよ」
「そうなるわね」
「だからね」
それでというのだ。
「努力しないとね、何か必死にしていれば普通は嫉妬しないから」
「そうした気持ち忘れるわね」
「そうなるから」
「努力することね」
「それがいいよ、本当にね」
まさにというのだ。
「嫉妬し続けたら幸せなんてね」
「なれないわね」
「あんな嫌な感情ずっとあったら」
それなららというのだ。
「もうね」
「幸せな筈ないよ」
「そうよね」
「憧れて尊敬して」
達川はそんな感情の話もした。
「その対象みたいになろうってね」
「努力したらね」
「いいけれど」
「嫉妬してひがんであれこれ悪く考えるだけなら」
「もうね」
それこそというのだ。
「不幸せなことだよ」
「それ自体が」
「だから俺嫉妬はしたくないよ」
一華に強い声で言った。
「前からそうで」
「今もなのね」
「これからもね、嫉妬なんかしないで」
それで悪いことを考えるだけで終わる様なことはなくというのだ、彼は心から思いそうして言うのだった。
「尊敬して」
「努力していきたいのね」
「そうしたら幸せになれるしね」
「幸せね」
「幸せっていい気持ちでいられるってことだね」
「そうね、自分自身がね」
一華もそれはと応えた。
「今お話してる通りね」
「だったらね」
「寛君はそうしていきたいのね」
「うん、怪我をしないで」
そしてというのだ。
「嫉妬しないで努力していく」
「ずっとそうしていきたいのね」
「幸せになりたいからね」
こう言ってだった。
達川は一華と共に下校中のデートを楽しんだ、そのデートは二人で幸せについて語ったもので二人にとって糧となるものだったことは人生の後でわかったことである。
第百一話 完
2023・9・8
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