八条学園騒動記
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第七百二十二話 哺乳類その十三
「連合はな」
「人も生きものもものもですね」
「全てな」
「使えるだけですね」
「使う、そして最後は引退するか供養してな」
「大事にしますか」
「そうしている」
こう上等兵に話した。
「そうした面ではいい国だ」
「そう言えますね」
「何かと問題もあるがな」
それでもというのだ。
「見るべき部分は多くな」
「参考にもですね」
「すべき部分はな」
「多いですね」
「敵の長所を取り入れる」
大尉は言った。
「それは国家を発展させることになる」
「そうしてきた国も多いですね」
「敵を調べてな」
そのうえでというのだ。
「そうしてきた国はな」
「多いですね」
「だからだ」
それ故にというのだ。
「見ていくことだ」
「今は」
「未来の為にな」
エウロパのそれの為にというのだ。
「是非な」
「そうしていくことですね」
「あらゆるものをな、そうしてだ」
大尉は上等兵に言った。
「日本もな」
「発展しましたか」
「明治維新からだ」
この頃からというのだ。
「当時の我々を観てだ」
「いい者を取り入れていき」
「そうしてだ」
「発展したのでしたね」
「僅か七十年でだ」
それまでの歳月でというのだ。
「第二次世界大戦で欧州各国と相手にしてだ」
「圧倒するまでにでしたね」
「戦える様になったのだ」
「僅か七十年程で」
「いいものを観てだ」
当時の西洋列強をだ。
「猿真似と言われるまでにだ」
「取り入れて」
「発展した、日本に出来たならな」
「我々も出来ますね」
「同じ人間だ」
この大前提を言うのだった。
「それならな」
「出来ない筈がないですね」
「連合は劣っていると言う」
エウロパをだ、傲慢な貴族と彼等に飼い慣らされた奴隷の如き平民達がいるだけだとよく言っているのだ。
「しかしな」
「それはですね」
「実は違う」
こう言うのだった。
「知能指数や運動能力は連合各国の方が高いと言う」
「科学的な数値も出して」
「だがそれは個人差に過ぎない」
大尉は断言した。
「努力次第でだ」
「何とでもなるものですね」
「同じ人間だ」
大尉はこのことを強調した。
「それでだ」
「優劣なぞですね」
「大したものの筈がない」
「覆せますね」
「努力次第でな」
そうしたものだというのだ。
「だからだ」
「そうした言葉は無視していいですね」
「逆に言えばエウロパの者が連合の者を馬鹿にしてもな」
「優劣はないですね」
「そのことを肝に銘じておくことだ」
「同じ人間の能力に優劣はない」
「個人差に過ぎないのだ」
その優劣はというのだ。
「所詮な」
「そうしたものですね」
「そうだ、では他の生きもの達をな」
「さらに観ていきますね」
「そうしていこう」
こう言ってだった。
大尉はアシカやアザラシ達のコーナーから別の生きもの達のコーナーに足を進めた、上等兵も彼についていった。
哺乳類 完
2023・7・2
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