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八条学園騒動記

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第七百二十二話 哺乳類その六

「それを見てもわかる、むしろだ」
「むしろといいますと」
「ヒョウアザラシが襲う生きもの達の方がな」
 獲物となる彼等の方がというのだ。
「遥かに人気がある」
「ペンギンや他のアザラシやオオウミガラスの方がですか」
「そうだ、ホッキョクグマもな」
 この生きものもというのだ。
「人気がある」
「ヒョウアザラシよりも」
「遥かにな」
「それでどの動物園にもいますか」
「ペンギンは人気がある」
 この鳥はというのだ。
「そうだな」
「そうですね、この動物園にもいますし」
「水族館でもだ」
「何処でもいますね」
「それは人気があるからだ」
「ライオンや虎と同じですね」
「だからどの動物園や水族館にもいるが」 
 それでもとだ、大尉はさらに話した。
「ヒョウアザラシはな」
「人気がないので」
「そうはいかない」
 そうした状況だというのだ。
「これがな」
「そういうことですね」
「そうした生きものもいるのだ」 
「世の中には」
「そうだ、しかしな」
 大尉はここで顔を顰めさせてこうも言った。
「わざわざエウロパアザラシなどとな」
「名付けることはですね」
「不愉快だな」
「はい」
 それはとだ、上等兵もエウロパの者として答えた。
「それは」
「まあそこはな」 
 このことはというと。
「連合ということだ」
「この国ならではですね」
「そうだ」
 エウロパを徹底的に敵視しているというのだ。
「だからな」
「そう名付けますね」
「尚エウロパにはだ」
「ヒョウアザラシはあまりいないですね」
「限られた地域にしかいない」
 寒帯のというのだ。
「あくまでな」
「左様ですね」
「しかしだ」
 それがとうのだ。
「連合ではな」
「ヒョウアザラシが狂暴で不人気なので」
「そう呼ぶのだ」
 エウロパアザラシと、というのだ。
「その様にな」
「悪いものは全てエウロパですね」
「エウロパイコール悪でな」
 こうした考えでというのだ。
「そのうえでだ」
「そう言っていますか」
「そうなのだ」
「それも連合ですね」
「まさにな」
「連合ですね」
「そう考えるといい」 
 上等兵に顔を向けて話した。
「そうした面もだ」
「連合にはありますね」
「それも強くな」
 ただ存在しているだけでなくというのだ。
「ある」
「そうですね」
「だがヒョウアザラシについてはな」
「実はエウロパでは殆どいない」
「そうなのだ」
「それが現実ですね」
「そういうことだ、では他のアザラシ達も観よう」
 大尉はヒョウアザラシから他のアザラシを観ようと言った、そうしてゴマフアザラシやモンクアザラシを観るが。 
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