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ハッピークローバー

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第百話 彼岸を過ぎてその十四

「これが全然なんだよ」
「売れないの」
「それで八条グループの居酒屋の八ちゃんのな」
「店長さんね」
「福島の方の店で店長さんやってて」
 それでというのだ。
「自分はお笑い芸人って言ってても」
「皆店長さんって言うの」
「そうなんだよ」 
 これがというのだ。
「それでも本人さんはな」
「お笑い芸人って言ってるのね」
「それで全然な」
「売れてないの」
「こんな人いるよ」
 成海の親戚にはとだ、自分でかな恵に話した。
「はじめて話したかこの人のこと」
「初耳よ」 
 かな恵もそれはと答えた。
「そんな人いるのね」
「ああ、ただ今話した人みたいかっていうと」
「違うのね」
「真面目に働いて優しくて謙虚でな」
「いい人なの」
「そうだよ、長嶋茂雄さん的なところがあるだけで」
 あまりにも有名なこの人に似ているというのだ。
「別にな」
「あの人確かに変なところ思いきり変ね」
「食事のマナーは普通だよ」
 長嶋氏には食事の際にも驚くべきものが多い、選手や関係者用の食堂で西瓜の先や案パンの中身やハムサンドのハムだけ食べて元に戻すのだ。当然周囲は茫然となった。
「だからそうしたところはな」
「大丈夫なの」
「ただああした」
「変なところがあるの」
「そんな人いるよ、けれどな」
「今お話したみたいな人はいないのね」
「それだけ幸せだよ」
 成海は心から思ってこの言葉を出した。
「変な親戚がいないだけな」
「それはね」
「かな恵もだよな」
「そう思うわ、本当にね」
「周り、親戚にもな」
「変な人がいなかったら」
「それだけでな」
 些細なことでもとだ、成海はこう思いつつかな恵に話した。
「本当にな」
「違うわね」
「ああ、屑とかいたらな」
 そう言うしかない輩がというのだ。
「冗談抜きで困るしな」
「実際理事長さん達が信者さんの天理教の教会にいた」
「その人が親戚にいてな」
「物凄く困ったらしいしね」
 その輩の親戚の人達はというのだ。
「何でも親戚の人に注意されたら」
「あれだろ、その人身体壊してたのにな」
「しかも年配の人だったのに」
 そうした人に言われてというのだ。
「怒ってどついたろかってね」
「親戚のそれもお年寄りの人にな」
「言う言葉じゃないわね」
「しかも身体壊してる人に」
「そのことも駄目過ぎるな」
「何で言ったか知らないけれど」
 かな恵はそこまでは知らなかったしこのことは成海もだ、だがどういった理由であれとも思って話すのだった。 
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