犬といえば骨だけれど
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第一章
犬といえば骨だけれど
その日ふわりの飼い主である国咲家の夕食は焼肉だった、それも骨付きであり一家の父の文太は肉を食べてビールを飲みつつ言った。
「骨は捨てるな」
「少しふわりにあげましょう」
妻の百合子は一緒に焼肉を食べつつ応えた。
「そうしましょう」
「ああ、ただな」
「ただ?」
「少しなんだな」
妻に食べつつ応えた。
「そうなんだな」
「ふわりの主食はドッグフードよ」
妻はそれは絶対だと答えた。
「それで骨はね」
「おやつか」
「時々こうしてね」
「肉食ってか」
「骨が出たら」
それならというのだ。
「あげるの、ただ鶏肉や鯛の肉はね」
「あげないな」
「ええ、折れやすくて」
それでというのだ。
「喉とか胃の壁に刺さるから」
「それでか」
「あげないわ」
「そうするんだな」
「それでね」
そのうえでというのだ。
「骨自体もね」
「おやつか」
「そう、いつもはね」
「あげないんだな」
「そうするのよ」
「犬っていうと骨だよな」
夫は焼肉を自分の皿の中のタレに漬けてから食べて言った。
「やっぱりな」
「イメージではね、けれど消化にね」
「悪いか」
「わかるでしょ」
このことはというのだ。
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