八条学園騒動記
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第七百二十一話 蛇の天敵その十
「それも何千万とだ」
「当時のソ連の人口の何割もを失いましたね」
「そしてそれがな」
それだけの犠牲がというのだ。
「ソ連の崩壊にもだ」
「つながったのですね」
「それだけの人間がいなくなって国家がまともにやっていけるか」
人口の何割かが失われてというのだ。
「言うまでもない」
「崩壊しますね」
「ソ連はアフガン侵攻で崩壊したと言われているが」
「既にスターリンの頃にですね」
「かなりだ」
多くの人間が死んでいてというのだ。
「国家の屋台骨がだ」
「揺らいでいたのですね」
「人が国家を構成するのだ」
大尉はこの大前提を話した。
「それでだ」
「人が多く死んではですね」
「どうして国家が保てるか」
「それは言うまでもないことですね」
「スターリンは人は幾らでも出て来ると考えていた」
それこそ畑で栽培出来るかの如くだ、こうした考えはスターリンだけでなく共産主義国家なら何処でも考えられていたことだった。
「だが実はな」
「違いましたね」
「人は無限ではない」
「幾らでも出ないですね」
「またそれぞれの分野で働くにはな」
そして国家の産業を支えるならというのだ。
「教育が必要だが」
「教育には時間がかかりますね」
「軍人も銃を持たせてだ」
「それで軍人となるか」
「それは違う」
絶対にというのだ。
「教育を受けさせてだ」
「なりますね」
「ただ銃を持たせた兵士なぞだ」
ソ連は二次大戦の時にそうした兵士を多く作った、そして多くのそうした兵士を失ったことは言うまでもない。
「何の役にも立たない」
「そこにいるだけですね」
「今だと艦艇のそれぞれの仕事の教育を受けていないとな」
さもないと、というのだ。
「どうにもならない」
「左様ですね」
「当時もそうだった」
二十世紀もというのだ。
「軍隊に限らずな」
「それぞれの分野で、ですね」
「教育を何年も受けさせてだ」
「人材が育ちましたね」
「その人材を無闇に粛清したりするとな」
「代わりがいなくなります」
「ソ連はそれを繰り返した」
スターリン、彼がだ。
「そして何千万と失ったからな」
「もうその時点で、ですね」
「崩壊していた」
国家としてというのだ。
「それからあの国は超大国となったが」
「アメリカと対抗するまでの」
「その内実はな」
「崩壊していたのですか」
「私はそう思う時がある」
ソ連についてというのだ。
「アフガン以前にな」
「もう崩壊していましたか」
「次々と全人口の何パーセントが失われる事態を起こしたのだ」
スターリンはというのだ。
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