わんねー あいつに責任とってもらう だけど好きになっただけヤ
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3-6
プール授業が始まって、6年生合同だった。最初の15分間は自由時間で、その後、それぞれ泳げる長さに応じたクラス分けで、25m泳げる人とそれ以外の人。飛び込みは禁止されているから、縁に立ったまま8人ずつ並んでスタートするのだ。大半がクロールなんだけど、何人かは背泳ぎの子も居た。
8割ぐらいの子が泳いだみたいで、その中で100m泳げる人って先生が言ったので、手を挙げたのが30人くらいで、女の子は10人程、その中には、泉希ちゃんもすみれちゃんも居たのだ。そして、隣の組の上原璃々も当然のように居た。道弘も自慢げに手を挙げていて、成績優秀な石川欣悟は挙げてなかった。
その30人ほどは、別のクラスになって練習することになったのだ。市のスポーツ協会の人が二人、指導に来ていたのだけど、最初にプールの横側を使って15mバタ足だけで泳げとか次は腕だけで泳ぐこととかをやらされていた。私は、泉希とかすみれちゃんが居たので、楽しかったのだけど、上原璃々は相変わらず私のことを睨んできてるような気がして・・怖かったのだ。
「水島さん 君のはめちゃくちゃだなー 腕も脚も伸ばしっぱなしで、バシャバシャやって・・・もっと うまくやれば 早くなるんだけどなぁー」と、指導員の横住さんに呼び止められて、色々と指導されたのだ。
終わり頃、みんながあがった後、私達のクラスは100mを泳げと8人ずつ縁に並んで、泳いだのだ。別に競争というわけじゃぁなかったのだけど、最初の組は女の子だけで、上原璃々は一番でゴールして、すみれちゃんが2番目だった。泉希ちゃんは4番目。私ともう一人は人数の関係で男の子と泳ぐことになってしまった。だけど、私の隣のコースは一人分空いて、道弘だった。
スタートして、最初は私がその組ではトップの方だったんだけど、折り返すと遅れはじめて、ゴールしたのは一番最後だった。
「すみれ すごいなぁー 去年は確か 泳げなかったんじゃぁなかったっけぇ ポチャリしてるから浮くんかぁ?」と、着替えの終わった道弘が寄ってきた。
「えへっ ウチもそー思ってたんやけどな 去年の夏 海に連れてってもらったら 泳げるようになっちゃった 道弘も相変わらずやねー ぶっちぎりのトップやんかー カッコええでー」と、ポッチヤリの憎まれ口は気にしないで応えていた。
「そうかぁー あんなものはなー」
「なんやー 道弘 耳が赤くなってるでー すみれが嫌味言われていても、道弘のこと褒めたんやものなぁー カッコいいやんてー」と、私が言うと
「アホか なんでやねん! でも 最初は 隣からバシャバシャとしぶきを飛ばしてくる奴が居たから 調子狂ったけどなー」
「それって みゅうみゅんのことかぁー?」
「たしか 隣 泳いでたの みゅうみゅんやろぅ? それも ひとつ空いてるのに」
「・・・ なぁ そんなにひどいんかぁ?」と、すみれちゃんに聞くと
「・・・まぁ 子犬がおぼれてるみたいよね それでも、泳いでるんやからええんちゃう」と、泉希ちゃんが応えていた。
「お前 そんなんで よう 海でおぼれなかったなぁー 泉希なんて きれいでー しぶきも立たなくて すぅーとな」
「ウチは 流してただけやからー」
「うぅー 指導員の人にも 言われた バシャバシャやってるだけやって・・・ それでもな 海では 思いっ切り波に叩きつけて・・・そやから、波も乗り越えられるネン」
「まぁ ええやん 泳げてるんやからー 男の子 みんな 出たでー ウチ等もはよー 着替えよー」と、すみれちゃんが言ったので 着替えるので、男の子と交代で教室に入って行った。
だけど、私は気になっていたので、帰って、ヨッさんに泳ぎ方を聞いてみた。
「俺は 泳げるけど そんなにうもぉーないんやー 山本部長は・・確か、高校では水泳部だったとか」
「ほうかー 聞いてみるワー」
「みゅうみゅん だいぶ 大阪弁も慣れてきなぁー」
そして、山本部長が帰ってくるのを待って
「部長さん 泳ぎ方 教えてー」
「なっ なんでっかー いきなり 泳ぎ方ってもなぁー お嬢はんは泳げるんちゃいまんのか?」
「泳げるけど みんなが バシャバシャしておぼれてるみたいだって なぁ ここでええし 脚の動かし方とか 教えて!」と、私は床に寝そべっていた。
「へっ お嬢はん そんなとこで・・ 痛いでっしゃろー」
そーしたら、ヨッさんが荷物の運搬に使う毛布を出してきて敷いてくれたのだ。とりあえず、私の普段の泳ぎ方を見せてみると
「・・・水ん中でも そんな調子でっか?」
「うん 腕も脚も思いっ切り伸ばして 叩きつけてる」
「それで 疲れないんでっか?」
「平気だよ なぁ おかしいんか? だって 誰からも泳ぎ方なんて教えてもらったことないもん 自然と昔からこんなんやー」
「・・・えーと まず 足はそんなに大きく振り上げないで、伸びているのはええんですけど・・・もっと、あんまり水の上にまで出さんでも 振り幅を小さくして、回数を増やした方が・・大きくバシャバシャしてると、水の抵抗も大きくなるんですわー」
それからは、私がずーと手足を毛布の上で動かして練習していたせいか、会社の人も合間を見て、交代で私に教えてくれていた。じっちゃんも、それを見ていたのだが、会社の人には何にも注意してなかったのだ。腕の動かし方なんかも手を取って教えてくれていた。
私が、疲れたと立ち上がった時、会社の終了時間を30分も過ぎていたけど、皆が見守っていてくれて、水泳教室みたいだった。
「みなさん ありがとうございました。きっと これで 学校で笑われることが無いと思います」と、丁寧にお辞儀をしていた。
「いゃー 何だかんだと みゅうみゅんは1時間ほど 泳ぎっぱなしでっせー さすが 元気でんなぁー」
「うん 体力だけは負けへんでー」
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