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八条学園騒動記

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第七百十九話 国鳥その三

「連合はだ」
「何でも食べますか」
「そうした国でな」
「雀もですか」
「そうなのだ」
「雉もそうで」
「最早食べないのはな」
 それはというのと。
「毒がないか人間位だ」
「あの、人間も」
 上等兵はここで怪訝な顔になって話した。
「連合では」
「食べているか」
「色々な国でそうした話がです」
「あるな」
「連合各国で」
「あれは極端な飢餓か信仰か狂気だ」
「そうしたものに基づいてですか」
 上等兵はその話を聞いて普通の顔に戻った。
「食べていましたか」
「今はそうした飢餓もな」
「ないですね」
「災害や事故に遭い孤立してだ」
「極端な飢餓状態に陥らないと」
「今もこうした話はあるな」
「はい、残念ですが」
「そして信仰はな」
 こちらに基づくものはというと。
「生贄を捧げてな」
「その生贄を食べますね」
「だがそれはな」 
「あくまで信仰で」
「今は連合でもだ」
 この国でもというのだ。
「禁止されている」
「そうなのですね」
「そうだ」
 まさにというのだ。
「当然な、あと狂気はな」
「また別ですね」
「狂人を標準にしないことだ」
「間違ってもですね」
「エウロパにもいたな」
「人を食べる狂人は」
「歴史にも残っているな」 
 こう上等兵に言った。
「君も知っている筈だ」
「フリッツ=ハールマンですね」 
 上等兵はハノーヴァーの食人鬼と呼ばれたおぞましい殺人鬼の名前を出した。
「あの」
「あの頃のドイツでは他にもいた」
「あの様な異常殺人鬼が」
「ペーター=キュルテンもだ」
 大尉はこの殺人鬼の名前も出した。
「いた、兎角だ」
「あの頃のドイツはですか」
「ああしただ」
「異常な殺人鬼が見受けられ」
「あれは世相のせいだ」
 当時のドイツのというのだ。
「戦争の後で社会の何もかもが崩壊していた」
「価値観も秩序も経済も」
「全てがそうなっていてな」
 その様な状況でというのだ。
「あの様な殺人鬼がだ」
「いて」
「世を騒がす」
「どの国でもそうなりますか」
「異常者はどの国にもいてな」
 そしてというのだ。
「一次大戦後のドイツもそうでな」
「社会も何もかもが崩壊していたので」
「異常者が多く出てだ」
「そうした食人鬼もいましたか」
「そうだ、エウロパにもそうした話があるな」
「食人鬼の話が」
「今もな」
「ごく稀に出ますね」 
 上等兵も否定しなかった。 
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