ハッピークローバー
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第九十七話 食べられる幸せその十一
「健康なことってね」
「有り難いわよね」
「それだけでね」
「私達意識してないけれど」
「そのことだけで違うわね」
「健康なことは降伏の原点ってね」
ウクライナの娘はこの言葉も出した。
「言うわね」
「それ実感してるわ」
「今こうしたお話して」
「それで平和が何よりもってね」
「思うわ」
クラスメイト達はまた口々に言った。
「戦争も災害もね」
「どっちがないこともね」
「地震や台風の被害もない」
「被災したりしないこともね」
「日本って災害で死ぬ人多いでしょ」
ウクライナの娘はこのことも話した。
「やっぱり」
「多いわね」
富美子も否定出来なかった。
「阪神大震災だって六千人の人が亡くなってるし」
「滅茶苦茶多いわね」
「それで東北のね」
「あの地震でもよね」
「あの地震なんて二万以上の人が亡くなってるのよ」
このことも話した。
「冗談抜きで東北壊滅したし」
「下手な戦争より多いわね」
「他の地震でも台風でもね」
「お亡くなりになってるわね」
「そうだからね」
こうした現実があるからだというのだ。
「もうね」
「日本では災害でお亡くなりになってる人多いわね」
「江戸時代の大火事でも地震でも大勢お亡くなりになってるし」
「噴火でもよね」
「お母さんを背負った娘さんが必死に逃げていて」
「逃げられなくて」
「後ろから迫った土砂に飲み込まれたって話もあったのよ」
「物凄いお話ね」
「浅間山の噴火の時にね」
天明のそれのというのだ。
「あったのよ」
「洒落になってないわね」
「実は戦国時代戦で人は然程死んでないらしけれど」
逆に人口は増えたという。
「けれどね」
「それでもなのね」
「災害ではね」
「沢山お亡くなりになってるのね」
「そうなのよ、というか日本に災害なかったら」
「もっといいわね」
「天国と言ってもね」
富美子はこうまで言った。
「いいかもね」
「そうよね、過ごしやすい気候だしね」
ウクライナの娘もこう返した。
「だからね」
「災害がなかったら」
「最高ね」
「日本はね」
「けれど何もかもがいいってね」
「それもないわね」
富美子もそれはと返した。
「やっぱり」
「そうなのよね」
「何でもかんでも最高ってね」
「それもないわね」
「けれど」
それでもとだ、富美子は言うのだった。
「戦争がなくて過ごしやすい気候のことは」
「充分幸せよね」
「そうよね、それで健康なら」
「言うことないわね」
「本当にね」
ウクライナの娘に真面目な顔で話した。
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