星河の覇皇
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第八十五部第一章 国防省への忠告その三十三
「それは常として」
「進めていってもらう」
「その様に」
「ではな、君に主に頼む」
「それでは」
「その様にな、しかしな」
ここでだ。キロモトは。
カバリエに対して話題を変えた、今度の話題はというと。
「連合のことも気になるがエウロパのこともな」
「やはりですね」
「常に見ていきたい」
「それで現状をですね」
「常に見ているが」
「非常にですね」
「あの国の発展はかなりのものだな」
こう言うのだった。
「まさに龍が天に昇る様な」
「恐ろしい成長を見せています」
「一年辺りの成長率は十七パーセントに達するか」
「それ程までかと」
実際にとだ、カバリエも答えた。
「産業省が驚愕しているともです」
「あまりもの経済成長の高さにな」
「国債を多く借りて国家を総動員して開発に勤しんでいます」
「その為国債はかなりのものになっているが」
「経済発展が凄いので」
「その国債もな」
それもというのだ。
「問題なくな」
「返せますね」
「やがてな、莫大な国債もだ」
国家の借金、それもというのだ。
「国家が発展していると問題ではない」
「返済が出来るので」
「問題はない、むしろだ」
「発展すべき時に予算がない」
「その方が国家にとっては問題だ」
まさにというのだ、キロモトは真剣な顔で指摘した。
「だからだ」
「エウロパは今は正しい政策を採っていますね」
「エウロパにとってな」
「今はあの国にとってはまさに発展すべき時なので」
「国債は幾ら発行してもいい」
そして借り入れてもいいというのだ。
「既にエウロパの経済規模から見て天文学的な額になっているが」
「国家予算と比しても」
「それで国債、借金でエウロパは潰れる」
「連合ではそうした意見もありますね」
「借金はすべきではない」
こうもだ、キロモトは言った。
「俗に言われる言葉だが」
「確かに借金はないに越したことはないですね」
「それがあるとな」
どうもというのだ。
「何かと厄介だ」
「精神的にも」
「足枷、重荷になる」
「借金を恐れないということは」
「並大抵の人物ではない」
「人として何かが欠けている様な」
「そうした人物だ」
借金を恐れない、そうした人物はというのだ。とはいっても人間は色々な者がいて中にはそうした特異な者も存在している。
「まさにな」
「左様ですね」
「だがそれは国政を担う者でも稀でな」
それでというのだ。
「国債の発行にも勇気がいる」
「そして今のエウロパ政府にはその勇気がある」
「ギルフォード総統が押し切っているが」
「あの御仁にはその勇気がある」
「そうだ、そして何よりもだ」
「今のエウロパにとってすべきことがわかっている」
「それは経済発展でだ」
それでというのだ。
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