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八条学園騒動記

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第七百十八話 多くの鳥達その十三

「私はあまり狐には思えないな」
「そうなのですか」
「外見がな」
 伊東のそちらの話をした。
「どうもな」
「確かに狐という感じではないですね」
 上等兵も伊東の愛犬を思い出して話した。
「言われてみれば」
「そうだな」
「極端に小柄ですので」
「連合ではかなりだな」
「一五〇位ですね」
「だから小人とも呼ばれる」
 伊東はというのだ。
「ロシアの内相もだがな」
「あの御仁はまだ一七〇あるので」
「連合以外ではやや小柄程だな」
「そうですね」
「しかしだ」
 それでもというのだ。
「連合の平均身長は一九〇だ」
「成人男性はそうですね」
「それだけあるとな」
 それならというのだ。
「一七〇ではな」
「小柄ですね」
「かなりな、そしてな」
「伊東首相はですね」
「さらに小さいのだ」
 そのロシアの内相よりもというのだ。
「性別を考慮してもだ」
「極端に小さいですね」
「連合の成人女性の平均身長は一八〇だ」
 それだけの高さだというのだ。
「それから見て一五〇だからな」
「極めて小さいですね」
「見ていてその小柄さが目立つからな」
 大尉としてもだ。
「私は狐には思えない」
「小人ですか」
「そう見える」 
 こう上等兵に話した。
「どうもな」
「そうですか」
「だが頭の切れを見るとな」 
 そうすると、というのだ。
「狐になるか」
「頭がいいので」
「ただ知識があるだけでなくな」
「教養もかなりだとか」
「そこに頭の回転の早さがありな」 
 それでというのだ。
「狐と言われるとな」
「狐ですか」
「そうなるな、それも只の狐でなくな」
「九尾の狐ですね」
「そう思う、尚妲己等だったことでもわかるが」 
 大尉はまたこの悪女の名前を出した。
「九尾の狐は女だ」
「そうですね。その性別は」
「このことはわかるな」
「はい、確かに」
「ただ男の九尾の狐もな」
「いますか」
「物語での九尾の狐はそうだが」
 それでもというのだ。
「その中にはな」
「男のものもですか」
「いるのだ」
「そうなのですね」
「日本ではよく狐は女で狸は男とされるが」
「どちらも性別はありますね」
「しっかりとな」
 上等兵に強い声で話した。
「そうなのだ」
「左様ですね」
「だが例えられるのではな」
「女は狐で」
「男は狸だ」
 そうなっているというのだ。
「日本ではな」
「そうなのですね」
「面白い区分だ、それで後でな」
「その狐や狸もですね」
「見よう」
「わかりました」
「だが今はまだだ」
 大尉は鳥達を観つつ言った。
「彼等を観よう」
「そうしますか」
「実に多くの鳥達がいて魅力的だな」
「確かに。それでは」
「まだ観ていよう」
 こう話してだった。
 大尉は上等兵と共に鳥達をまだ観ることいした、動物園の中の二人はそこで連合をさらに観ていき語るのだった。


多くの鳥達   完


                      2023・6・2 
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