ハッピークローバー
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第九十六話 ラッキーナンバーその十三
「お辞儀する時にお尻の部分が見えない様に」
「丈長くしたの」
「ボンタンの方は知らないけれど」
「昭和の不良の格好にもなったの」
「それがファッションになって」
不良のそれにというのだ。
「何時しかね」
「ああしてなのね」
「定着したのよ」
「詰襟の学生服の」
「詰襟の学生服も高校じゃ減ったけれどね」
「ブレザー主流よね」
「うちは制服の種類多いからね」
今度は八条学園のことを話した。
「詰襟も多いけれどね」
「黒とか青とか」
「赤とか白とかね」
「白は海軍よね」
「そうみたいね、日光を撥ね返してね」
白い色がそうさせるのだ。
「それでね」
「白なのね、海軍は」
「夏はね」
「そうよね」
「それでこの白もね」
所謂白ランもというのだ。
「日本の不良の人達の間でね」
「ファッションになってたのね」
「うん、ただね」
「ただ?」
「白でしょ」
この色のことをさらに言うのだった。
「だから汚れがね」
「ああ、白は目立つわね」
「それで白ランはね」
「定着しなかったのね」
「そうらしいわ」
「それ重要よね」
「日常生活送ってるだけでね」
学校でというのだ。
「結構汚れるでしょ」
「何かとね」
スペインの娘も否定しなかった。
「やっぱりね」
「だからね」
「定着しなかったのね、そのせいで」
「そうみたいよ」
「恰好いいけれど」
このことは事実だがというのだ。
「汚れが目立つか」
「そういえば江田島行った時海自さんの人が言ってたわね」
スペインの娘は思い出して言った。
「あの詰襟汚れが目立つから」
「一回着ただけでクリーニングに出すのよね」
「恰好いいけれどね」
「汚れが目立つからちょっと着て」
「クリーニングね」
「難儀な服よね」
「クリーニング屋さん大儲けね」
一華に笑ってこうも言った。
「そうなったら」
「そうよね。しかしね」
「しかし?」
「白って案外困るのね」
スペインの娘はここでだった。
自分のシャツの前を引っ張ってその中を覗いてだった、それが終わってから一華に対してこんなことを言った。
「私今下着白よ」
「そうなの」
「勿論下もね」
「色揃えるのはお約束よね」
「別々の色だとね」
上下の下着の色がというのだ。
「どうもね」
「しっくりこないわよね」
「どうもね」
「それもお洒落だしね」
「見えないところのね」
一華に笑って話した。
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