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ハッピークローバー

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第九十六話 ラッキーナンバーその一

               第九十六話  ラッキーナンバー
 一華は家出父のその言葉を聞いて言った。
「二十二だから運がいいのね」
「ああ、そうだよ」
 父はその通りだと答えた。
「この番号だとな」
「運がいいの」
「ラッキーナンバーだよ」
 娘に微笑んで話した。
「二十二はな」
「それはどうしてなの?」
「決まってるだろ、田淵さんの番号だぞ」
 父は娘に当然という顔で返した。
「そうでない筈ないだろ」
「ああ、あの人の背番号ね」
「現役時代のな」
「田淵さんの背番号っていうと」
 一華もこの天性のホームランアーチストと呼ばれたスラッガーのことは知っていてそのうえで父に応えた。
「二十二しかないわね」
「そうだよ、だからな」
「あの人の背番号の数字だから」
「もうな」
 それこそというのだ。
「ラッキーナンバーだよ」
「そうなのね」
「あとな」  
 父は娘にさらに話した。
「他にもいい数字があるんだ」
「どんな数字?」
「六、七、十、十一、十六、二十三、二十八、二十九、三十一でな」
「それでなのね」
「四十四だ」
「全部阪神の選手よね」
「ああ、全部わかるな」
「六は金本さん、七は真弓さんよね」
「十は藤村さん、十一は村山さんだ」
 この二人の偉大な野球選手のそれだというのだ。
「この二つはまた違うな」
「どちらも永久欠番ね」
「二十三の吉田さんもな」
「そうよね」
「二十八は江夏さん、二十九は小林さんだ」
「三十一は掛布さん」
「そして四十四はだ」
 この数字はというと。
「言うまでもないな」
「バースさんの背番号ね」
「もうな」
 父はそれこそという口調で言った。
「この数字はな」
「別格ね」
「十と十一、二十三もだがな」
 永久欠番の数字もというのだ。
「しかしな」
「四十四はなのね」
「また違うからな」
「バースさんは偉大よね」
「あんな凄い人はいなかったからな」
 初来日から随分経つが阪神ファンに愛されている、何故そうなったかは阪神を日本一にしたからである。
「お父さんも好きだしな」
「私もね」
「だからな」
 それでとうのだ。
「四十四はもっとな」
「ラッキーナンバーね」
「ああ、二十二もいいけれどな」
 それでもというのだ。
「四十四は最高だ」
「そうよね」
「けれど二十二もな」
 この番号もというのだ。 
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