| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ドリトル先生の落語

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第六幕その五

「そう言っていますが」
「でしたら今度大阪にお伺いします」
 先生は自分から言いました。
「時間がある時に」
「いえ、それには及びません」
 上林さんは確かな声で答えました。
「それでしたら春琴からです」
「こちらにですか」
「大阪と神戸でしたら」
 それならというのです。
「もう目と鼻の先なので」
「だからですか」
「それに八条大学は彼女の出身校ですし」
「そうらしいですね」
「はい、春琴も是非です」
 そうした感じでというのです。
「訪問してです」
「そしてですか」
「母校も観たいとです」
「言っておられますか」
「そして何よりも」
「僕とですね」
「自分が行くのが礼儀と言っていて」
 それでというのです。
「伺うとのことです」
「そうなのですね」
「ですから」
 それ故にというのです。
「先生はです」
「待っていればいいのですね」
「はい、では何時が宜しいでしょうか」
「土日でしたら」 
 こうした曜日はとです、先生は答えました。
「何時でもです」
「いいのですか」
「はい」
 そうだというのです。
「ご安心下さい」
「それでは」
 上林さんも応えてでした。
 先生と春琴さんが来る日時のスケジュール調整を行いました、お話はすぐに整って終わってなのでした。
 先生は春琴さんとお会いすることになりました、それで上林さんとのやり取りが終わってそのうえで。
 先生は皆にまさかというお顔でお話しました。
「聞いたと思うけれどね」
「うん、春琴さんとだね」
「あの人とお会いするね」
「そうなったね」
「予想外のことだよ」
 驚きを隠せないで言う先生でした。
「イギリス人の女性の落語家さんがいるって思ったら」
「それでその人の落語聞いて」
「いいと思っていたら」
「そこでだからね」
「その人から会いたいって」
「そう言ってきてね」
「意外も意外だよ」
 こう言いました。
「本当にね」
「世の中何があるかわからないけれど」
「今回もだよね」
「本当にそうよね」
「何があるかわからないわ」
「全く以てね」
「若しかして」
 先生は考えるお顔になって言いました。
「これも縁かな」
「ああ、先生が春琴さんのことを知って」
「その人の落語を聞いた」
「それは縁だったんだね」
「今回の」
「人からは偶然に見えて思えても」
 それでもというのです。
「これは実はね」
「縁だね」
「神様のお導きだね」
「そうだね」
「偶然は世の中にないという人もいるよ」 
 実際にというのです。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧