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イベリス

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第百十六話 交番に寄ってその十二

「行いをあらためることもね」
「ないですね」
「それでね」
 そのうえでというのだ。
「餓鬼のままよ」
「そうした奴は」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「稀よ、そんな奴」
 流石にという顔での言葉だった。
「いても」
「滅多にいないですか」
「人間凄い人も僅かだけれど」
「酷い人もですか」
「僅かよ」
 こう言うのだった、先輩は咲に幾ら何でもという顔になってそのうえで彼女に対して言うのであった。
「本当にね」
「そうなんですね」
「そんなね」
「餓鬼にまでなった様な」
「酷い奴はね」
「ほんのちょっとしかですか」
「いないわ」
「そうなんですね」
「それでそうした奴は集まるわ」
「一つの場所に」
「類は友を呼ぶで」
 それでというのだ。
「半グレだってそうでしょ」
「群れますね」
「それと一緒で」
「餓鬼もですか」
「他に行く場所もなくなってね」
「集まるんですね」
「だからそうした場所にはね」
「行かないことですね」
「そうよ」
 そうすべきだというのだ。
「いても不愉快になるだけよ」
「そうなるだけですね」
「ええ、だからね」
「餓鬼は助けないで」
「寄らないことよ」
「それがいいんですね」
「それでちょっとしかいない」
 またこのことを言うのだった。
「そのこともね」
「覚えておくことですね」
「大抵は普通の人よ」
 世の中にいるのはというのだ。
「本当にね」
「人間ですね」
「餓鬼は餓鬼道にいて」
「人間がいるんですね」
「そうよ」
 そうしたものだというのだ。
「本当にね」
「そういうものですか」
「ええ」
 まさにというのだ。
「そうよ」
「そのことは安心していいですね」
「よくそんな人と会っても」
 それでもというのだ。
「それ以上にね」
「いい人にですね」
「出会えるから」
「そうした人達と一緒に居ればいいですね」
「そうよ、家族にいても」
 餓鬼がというのだ。
「けれどね」
「それでもですね」
「相手にしなかったらいいのよ」
「家族でも」
「家族でも餓鬼だとね」
「もうどうにもならないから」
「離縁してもいいし」
 そうした手合いとはというのだ。
「それで無視してもよ」
「いいんですね」
「どうにもならないなら」
 それならというのだ。
「本当にね」
「そうですか」
「ええ」
 こう言うのだった。
「咲ちゃんもね」
「私も」
「そうよ、そんな家族はね」
「どうしようもない人は」
「無視してもね」
 そうしてもというのだ。
「いいし離縁もね」
「いいんですね」
「あくまで最悪な場合に対してだけれど」
 そうした家族限定だというのだ。 
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