八条学園騒動記
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第七百十六話 蜥蜴と亀その五
「それでよくな」
「それで生計が立てられているなら」
「そうだ、それもだ」
「連合ですね」
「そうなのだ、ただ川のものは流石にあまり生では食べない」
「その連合特に日本でもですね」
「一旦冷凍でもしないとな」
そうして殺菌しないと、というのだ。
「良識のある者は食べない」
「淡水だと」
「寄生虫が恐ろしいからな」
「それ故にですね」
「それはすっぽんも同じでな」
「流石に生では食べないのですね」
「蛙は養殖ならそれで食べてもな」
生、刺身やカルパッチョにしてというのだ。
「しかしな」
「野生ならですね」
「非常に危険でだ」
「野生のすっぽんはですね」
「食べない、そもそもすっぽんは生で食べず」
「火を通しますか」
「そしてだ」
そのうえでというのだ。
「食べるものでな」
「焼いたりしますか」
「おおむね鍋にしてな」
「食べますか」
「煮ることが多い」
「そうなのですね」
「エウロパでは亀はまず食べないがな」
この生きものはというのだ。
「しかしだ」
「連合では違うということですね」
「これまで見た爬虫類で蛇や鰐も食べてな」
「鰐はステーキにもして」
「そしてだ」
そのうえでというのだ。
「すっぽんはその様にな」
「鍋にしたり煮たりして食べるのですか」
「他の亀もな」
「そうなのですね」
「当然蜥蜴やヤモリも食べる」
こうした生きもの達もというのだ、見れば蜥蜴と亀は一度に集めたコーナーの中にいて仲良く暮らしている。そこにヤモリ達もいる。
「こちらは焼いてな」
「兎角食べるのですね」
「連合はな」
「つくづく食に貪欲な国ですね」
「三百以上ある国の全てがな」
「そうなのですね」
「この生きものさえ食べる」
大尉は今度はカメレオンを指差して言った、丸く大きな様々な色が入っている目を持つその生きものをだ。
「しかも結構だ」
「鶏肉の様な味で、ですね」
「美味いそうだ」
「そうなのですね」
「やはり連合以外では食べないがな」
他の爬虫類の生きもの達と同じ様にというのだ。
「逆に言うと連合ではだ」
「食べますね」
「そしてカメレオンといえばだ」
大尉はこの生きもの自体の話もした。
「わかるな」
「はい、カメレオンといえばです」
上等兵もすぐに答えた。
「保護色です」
「いる場所に合わせて色を変えてな」
「同化してですね」
「敵の目を誤魔化す」
「そうしますね」
「ころころと立場を変える者をカメレオンと呼ぶが」
このことはエウロパでも同じである。
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