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ハッピークローバー

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第九十四話 暦のうえでは秋だけれどその十

「風土病も少なくて」
「危険な生きものも少なくて」
「いい自然よ、タンザニアなんか人を襲う謎の生きものだっているのよ」
「あっ、アフリカって未確認動物が」
「多くてね」
「結構そうしたお話ありますね」
「広くて自然豊かで」
 そうした大陸でというのだ。
「タンザニアもいてね」
「先輩のお国にもですね」
「一度しか目撃例ないけれど」
「いるんですか」
「ムグンワっていう豹に似た外見の」
「未確認動物ですか」
「何でも警官襲って殺したらしいのよ」
 そうした話だというのだ。
「二次大戦前にね」
「かなり昔ですね」
「実際にいるかどうかわからないけれど」
 それでもというのだ。
「そんな話もあるのよ」
「そうですか」
「日本にはそうした生きものもいないし」
「いいですか」
「かなりね」
「そうなんですね」
「そりゃ祖国は一番好きよ」
 先輩はこれは絶対だと言った。
「私も大学出たら就職するけれど」
「タンザニアで働かれますか」
「八条グループの企業に入ってね」
 学園を経営している八条家の企業にというのだ。
「そうしたいけれど日本はね」
「お好きですか」
「自然を見てもね」
「そうですか」
「いい国よ、日本」
 笑ってこうも言うのだった。
「凄くね」
「そうですか」
「こんないい自然の国に住めるなんて」
 それはというと。
「幸せよ」
「そうですか」
「それだけでね」
「そうなんですね」
「ええ、アフリカの自然は色々あるから。まあね」
 ここで千敗はこうも言った。
「災害は多いわね」
「それは仕方ないですね」
「私達が生まれる前だけれど地震あったでしょ」
 一華に眉を顰めさせて話した。
「そうでしょ」
「阪神大震災ですね」
「この街でもね」
 自分達が今いる神戸でもというのだ。
「そうでしょ」
「あの時街が滅茶苦茶になって」
「大勢の人がお亡くなりになったわね」
「そうでした」
 一華もその通りだと答えた。
「あの時は凄かったそうですね」
「そうよね、その地震があって」
 先輩はさらに話した。
「台風、津波、洪水、大雪、大雨、雪崩、火山の噴火って」
「日本は多いですね、災害」
「それが嫌だけれど」
 それでもというのだ。
「全体的に見てね」
「いい国ですか」
「自然から見てもね」
「そうなんですね」
「それでこの国にいられるなら」 
 それならというのだ。
「そのことだけでもね」
「いいですか」
「幸せよ」
 そうだというのだ。
「本当にね」
「それだけで幸せですか」
「親戚豹に襲われて大怪我したことあるのよ」
「そうですか」
「街の外を一人で酔って歩いていたら」
 そうすればというのだ。 
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