星河の覇皇
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第八十四部第五章 宣言に向けてその三十三
「莫大な利益を生む」
「そうしたものですね」
「まさにな、そして社会福祉もだ」
「人を護るものです」
今度は金が話した、そのこともどうしてもとだ。金は言うのだった。
「ですからどうしてもです」
「必要だ」
「揺り籠から墓場までという言葉もありますが」
二十世紀のスウェーデンで出て来た言葉だ、これは国民が共産主義に流れない様に国民を福祉で完全に国家の方につけようという意図もあったという。
「そこまで極端でなくとも」
「高齢者や障害者への福祉は当然だ」
「まさに」
「それはなくてはな」
それこそというのだ。
「国家としてだ」
「近代のですね」
「だから必要なことだ」
まさにとだ、アッチャラーンは話した。
「どうしてもな、そしてこの福祉もな」
「やはり産業として」
「大きなものになっている」
「経済を動かすものになっていますね」
「その一環としてな、だが国防はな」
こちらはというと。
「被服等は産業になるが」
「それでもですね」
「軍隊はある程度以上自分達で出来る」
「施設をもうけることも」
「業者を入れずともな」
「そのことも大きいですね」
「そして兵器はな」
これはというと。
「かなりの技術や設備への投資が必要だが」
「それでもですね」
「その割に市場が限られている」
「軍隊だけです」
「それ程大きな利益を得る産業ではない」
軍需産業、それはというのだ。
「だからどうしてもな」
「経済にも貢献しないので」
「こちらに予算は投入しない」
「それが現実ですね」
「そういうことだからな」
「連合ではですね」
「国防費は少なくなる、だがそこで明文化するか若しくは」
アッチャラーンは考える目でさらに話した。
「不文律として強く世論に広めるか」
「そうしたことをですね」
「してだ」
そしてというのだ。
「そのうえでな」
「それを定める様にする」
「そうしたやり方もある、だが連合ではな」
「そもそも国防費はですね」
「元々優先順位は低い」
「これまでお話した事情で」
「だから各国政府も間違いなくだ」
アッチャラーンは金に確信して答えた。
「不文律がなくともな」
「最初からですね」
「最低限の国防費だけでやる」
「それは間違いないですね」
「今回は確かに増加を要求しているが」
それでもというのだ。
「その実はな」
「大したものではないですね」
「連合でこれまで軍事に力を入れた政権は存在しない」
それこそ一つもというのだ。
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