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八条学園騒動記

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第七百十四話 巨大な両生類その十二

「わかることだ」
「それが大事ですね」
「そうだ、それでペンギン達もな」
「満腹ですね」
「常にな、多少太っている」
 そうなっているというのだ。
「そして運動もな」
「していますね」
「フォアグラの様にはならないな」
「昔の」
 この時代のフォアグラは家鴨も動かさせている、ただ肥満しただけになっているのだ。これも動物愛護の精神からのことだ。
「あの様にはですか」
「ならないな」
「フォアグラですか」
 上等兵はその食材についてはこう言った。
「実は私はそれは」
「食べたことがないのか」
「はい」
 そうだというのだ。
「キャビアもトリュフも」
「そうなのか」
「今だに」
「なら機会があればな」
「食べればいいですか」
「美味い」
 一言で言った。
「実にな」
「そうなのですね」
「君達は食べる機会が少ないか」
 平民はとだ、大尉は言った。
「やはり」
「その通りです」
 上等兵もその通りだと答えた。
「我々は」
「やはりそうか」
「連合では誰でもですね」
「この国には階級がないからな」
「だからですね」
「お金があればな」
 それでというのだ。
「もうだ」
「お店に行けば」
「それでだ」
「食べられますね」
「そうした国なのだ」
「連合という国は」
「私は別にだ」
 大尉は自分の考えも話した。
「入るお店は兎も角な」
「食べるものはですか」
「何でもな」 
 誰でもというのだ。
「食べればいい」
「そうですか」
「そう考えている」
 まさにというのだ。
「だからな」
「一度ですか」
「食べればいい」
「フォアグラを」
「キャビアやトリュフもな」 
 こうしたものもというのだ。
「今度な」
「食べていいですか」
「何なら行くか」
 大尉は上等兵に顔を向けて提案した。
「共にな」
「そうしたものを食材として扱うお店に」
「どうだ」
「宜しいのでしょうか」
「構わない、ここは連合だ」
 階級のない国だというのだ。
「そして私達もだ」
「連合市民ですね」
「だからな」
 そうなっているからだというのだ、大尉は自分達がエウロパの工作員であることをあくまで隠して言うのだった。
「是非な」
「食べていいのですね」
「そうだ、どうだ」
「大尉がそう言われるなら」
 上等兵はこう答えた。
「お願いします」
「ではな」
「その時が来れば」
「一緒に行こう」
 こんな話もしつつだった。
 二人は今度は爬虫類のコーナーに向かった、そのうえで連合の爬虫類達様々な種類の彼等も観るのだった。


巨大な両生類   完


                    2023・5・2 
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