神々の塔
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第三十三話 アウトローの者達その十
「独特の喧嘩のやり方でな」
「戦うもんでか」
「汚いと言われるやり方もな」
「上等やな」
「そや、しかしな」
それでもというのだ。
「実際術を使ってもな」
「刀や手足使う方に気が向いてか」
「あとここぞっていう時のな」
「汚いやり方やな」
「喧嘩は勝てばええ」
芥川はこの真実も指摘した、喧嘩の本質を。
「そうしてやるもんでな」
「どうしてもそうせんとやな」
「癖が出る」
「それで術にもやな」
「それが出るんや」
そうなるというのだ。
「ほんまにな」
「そしてその癖をな」
「見抜くことやな」
「それが大事や、喧嘩に勝つにはな」
芥川はさらに言った。
「腕力とか技も大事やが」
「目か」
「相手の癖を見抜くのも大事やな」
「それはどの勝負でも同じやな」
格闘技や戦場でもというのだ。
「ほんまに。しかし普通に剣術とかやと流派で修行する」
「それで個癖が修正される」
「それでわかりにくくなるな」
「しかし喧嘩に流派なんてない」
「我流や」」
「我流やとどうしても個癖がそのまま付く」
「それでそこにある弱点を衝きやすい」
中里はその目をきっとさせて言った。
「そやな」
「そや、ええな」
「ここはやな」
「忠治さんの個癖を見抜くんや」
「それやな」
「ああ、刀でも足でも術でも」
「それで戦うことやな、ほなやるか」
中里は芥川の言葉を受けて気付いてきたその個癖を見抜きにかかった、見ているとそれはかなりのもので。
実にわかりやすかった、それで中里は言った。
「刀を左から右に振る時やが」
「その時にか」
「何かわかったか」
「にわりと笑ってる」
メルヴィルとトウェインに話した。
「その太刀筋は一直線、目の高さで振られる」
「忠治さんのか」
「それでやな」
「そこを狙うんや、あと忠治さんは攻撃する術を使うが」
今度は術を使う時のそれを話した。
「この時もや」
「癖が出てるか」
「忠治さんのそれが」
「そや」
今度は羅と施に話した。
「右手を前に突き出して出すけど動きが一瞬やが止まる」
「術を放つことに集中して」
「それでか」
「そうなってる、そやからな」
その為にというのだ。
「そうした時を狙うんや」
「よし、その一閃をかわしてな」
「そして反撃する」
「そして術を放つ時の隙を攻めるか」
「そうするか」
「そや、やるで」
自ら前に出て言ってだった。
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