神々の塔
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第三十三話 アウトローの者達その九
「その利点はあるが」
「それでもやな」
「手首の方にどうしてもな」
「注意がいくな」
「そや、敵に全部向かわずに」
「ある程度でもやな」
「無意識にな、どんな達人でもな」
例え免許皆伝でもというのだ。
「そうなる、その集中力が割かれることが」
「弱点やな」
「そやからな」
ここはというのだ。
「そこをな」
「衝くな」
「そうして戦うで」
「わかった、ほなな」
リーは芥川の言葉に頷いた、そして。
光の術を出して造酒に向けた、彼に隙はなかったがそうした。
すると彼は瞬きもせずかわした、すっとほんの少し左に身体をずらしてかわしたがそこに敵と手首に向ける以外にだ。
集中力が向かった、そしてそれを見逃す一行ではなく。
そのほんの僅かな隙を衝いて攻撃した、それでダメージを与えていき。
造酒に勝った、そのうえで国定忠治と戦ったが。
中里はその剣技を前にして芥川に言った。
「まさにな」
「この神霊さんの剣術こそがや」
「任侠の剣術やな」
「喧嘩のやな、その中でもな」
芥川は喧嘩の剣術を繰り出す彼を見ながら中里に話した。
「この神霊さんはな」
「特にそれが強いな」
「実際喧嘩強かったらしい」
このことも話すのだった。
「かなりな」
「そやねんな」
「それで痛風で動けん様になるまでな」
まさにその時までだ。
「幕府も手が出せんかった」
「幕府でもやな」
「そこまで強かった」
国定忠治はというのだ。
「ほんまにな」
「その剣技にどう向かうか」
「それやが」
「見たところ突いてや」
中里は実際に突きを多用する忠治の剣技を見て言った。
「そして蹴りもな」
「よお使うな」
「まさに喧嘩の剣術や」
中里が見てもだった。
「この神霊さんのそれは」
「そやな」
「隙が無い、後ろにもや」
「目がついてるみたいやな」
「身体全体を使ってるわ」
そうした剣技だというのだ。
「ほんまな、ただな」
「何か気付いたか」
「そっちで戦ってる時は」
その時はというのだ。
「そればかりで術をな」
「使わんな」
「そして術を使う時はな」
中里はこの時のことも話した。
「それにかかりきりや」
「ほんまどっちかやな」
「そして術を使うと」
国定忠治はというのだ。
「どうもや」
「型がやな」
「癖が強い」
「任侠の勝負やとほんまな」
芥川は忠治を見て彼の特徴を見極めようとしている中里に話した。
ページ上へ戻る