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ハッピークローバー

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第九十二話 酷い親戚がいないことその十五

「ずっとね」
「こうした人達みたいになって欲しくなかったから」
 だからだというのだ。
「子育てにはね」
「意識してたのね」
「ええ、だからあんたもね」
「努力していくわ、それで結婚して子供出来たら」
 遥かな未来想像も出来ないまでのそれと思いつつ母に答えた。
「そんな人達みたいにはならない様に」
「やっていくわね」
「そうするわ、しかしまともでない親御さんからは」
「まともでない子供が出来るのはね」
「ちゃんと理由があるのね」
「まともな子育てなんてしないから」
 まともでない親はというのだ。
「そうした子供に育つのもね」
「当然ね」
「そうよ、まともな子供を育てたいなら」
「自分がまずなのね」
「そうよ、ちなみにこのお母さん人に自分を尊敬しろって真顔で言ってたわ」
「それで尊敬される筈ないじゃない」
 一華はまた口をへの字にさせて答えた。
「自分を尊敬しろって普通言わないわよ」
「それをその人は言ったのよ」
「本気でよね」
 真顔ということからこのことを察した。
「そうよね」
「それで実際の行いはね」
「今お話した通りよね」
「そんなのだったのよ」
「それで尊敬されるなんてね」
 絶対にとだ、一華はまた言った。
「有り得ないわよ」
「逆に皆から軽蔑されたのよ」
「そうなるわよね」
「こんな人だったからね」
「そんな碌でなしを育てたのね」
「そういうことよ」
「じゃあまともな子育てする為にも」 
 遥かな将来とだ、
「私自身ね」
「努力して成長してね」
「そうなる様にするわ」
 一華は母に約束した。
「本当にね」
「そうしてね」
「楽して幸せには馴れないのね」
「果報は寝て待てっていうけれど」
「やることをやって」
「焦らないでいろってことよ」
 この言葉の意味はというのだ。
「だからあんたもね」
「やるべき努力はすることね」
「幸せになりたいならね」
「それなら努力する」
「いいわね」
「約束したから」
 これが一華の返事だった、そうしてだった。
 実際に心に誓ったのだった、そうした人達の様にならない様にと努力しようと。若しどりょくしなかった場合はどうなるかも実感しながら。


第九十二話   完


                  2023・7・1 
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