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イベリス

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第百十三話 本格的な秋その十五

「経験を積んで自分を磨いたら」
「そんな人にはならないわね」
「いや、ずっと衣食住やってくれた奥さんに逃げられて」
 この時のことをまた話した。
「今まで養ってくれたことに感謝しないで」
「爪切りまで持って行ったね」
「こんなこと言う恩知らず、器の小ささ、甲斐性なし」
「それを人に言う無神経さね」
「もうここまでなるってね」
「人間としてまともな人生を歩いてこなくて」
「努力して経験積んで」
 そうしたことを経てこなくてというのだ。
「人間を磨いてこなかったからね」
「なるものね」
「そうだと思うから」
 それ故にというのだ。
「私努力していきたいわ」
「お勉強してアルバイトして?」
「色々人生のことも学んでいって」
 そうもしてというのだ。
「色々な場所にも行って」
「そうした努力して」
「本もまともな本沢山読んで」
「ただ読むんじゃなくて」
「努力していきたいわ」
 是非にというのだ。
「高校時代、今からね」
「そうしていくの」
「それで会社で働いて結婚して」
 咲はさらに言った。
「子供も育てて」
「そっちでも努力するの」
「そうもしてね」
「自分も磨いていくの」
「そんな人にはならない様にね」
「ああはなるまいね」
「ええ、そんな人は自分がどう思っていても」
 偉いだの思っていてもというのだ。
「誰もお手本になんかしないで」
「反面教師よね」
「それにしてね」
 そうしてというのだ。
「やっていくことよね」
「そうよね、私もそんな人になりたくないわ」
 同級生も言った。
「だったらね」
「自分を磨いていくことよね」
「その人は自分を磨くなんてね」
「一切してこなかったのがわかるわね」
「ドキュンじゃなくくても」
 そう言われるタイプではないがというのだ。
「ろくでなしよね」
「そう言っていい人よね」
「それもかなりレベルの低い」
 そう言っていい様なというのだ。
「そんな人よね」
「そんな風になったら自分も幸せにならないし」
「周りも迷惑だしね」
「そんな人にならない様に」
「努力していかないとね」
「そうよね」
「若しそんな人になったら」
 それこそというのだ。
「終わりよね」
「人間としてね」
「そうなりたくないなら努力する」
「そうしないとね」
「大事なことよね」
「何よりもね」
 こうしたこともだった。
 咲は部活の時に話した、そして部活の後でアルバイトにも行った。その中で様々なことを学び自分を磨いてもいった。


第百十三話   完


                   2023・6・1 
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