X ーthe another storyー
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第三十一話 墓参その九
「してね」
「そのうえで、ですね」
「お話したいと思っているよ」
「そうですか」
「出来れば今すぐにでも」
こうもだ、昴流は言った。
「会って話をしたいよ」
「しかしです」
ここまで話を聞いてだ、征一狼は複雑な顔になり昴流に話した。
「その人はです」
「はい、僕の姉を殺しました」
「貴方を殺そうとして」
「姉が身代わりになりまして」
「そうですね」
「ですが今もです」
「その人を嫌いではないですか」
「憎んでもいません」
こうもだ、昴流は話した。
「今も」
「そうなのですね」
「普通は憎むわ」
火煉も言ってきた、真剣な顔で。
「大切な人を手にかけられたら」
「僕もそう思います、ですが」
「それでもなのね」
「はい、あの人もです」
まさにというのだ。
「僕にとってはです」
「大切な人ですね」
「はい」
そうだというのだ。
「そしてずっと一緒にいて」
「絆が出来ていたのね」
「ですから」
それでというのだ。
「僕はです」
「その人を憎めなくて」
「今もです」
「会いたいのね」
「そしてお話したいです」
「十年を経っても」
「しかしその人は昴流さんを殺そうとしたんでっせ」
空汰は腕を組んで微妙な顔で話した。
「そうですさかい」
「だからだね」
「相手の痛みがわからへんって自分で言うてますし」
「油断出来ない人だね」
「それって人間やないです」
空汰はこうまで言った。
「人の痛みがわからへんで命奪うのも平気なら」
「そうね、それこそがバケモノね」
嵐は空汰のその言葉に頷いた。
「本物の。私も思うます」
「星史郎さんとはだね」
「少なくとも一人ではです」
「会うべきでないね」
「はい」
昴流にその通りだと答えた。
「私達がいますから」
「一緒にだね」
「会いましょう」
「そうしないと危ないです」
護刃も真剣な顔で言った。
「その人とお会いするとしても」
「それじゃあだね」
「はい、その時は」
護刃はさらに言った、隣には犬鬼もいて座って控えている。
「私達にお話して下さい」
「そうしてくれるんだね」
「絶対に」
まさにというのだ。
「その時は」
「昴流さんは話してくれた」
神威も言う。
「覚悟をしてくれたな」
「そんな大したものでないよ、話そうと思っていたよ」
昴流は神威に手振りを交えて話した。
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