イベリス
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第百十二話 九月が進みその五
「よく観てる」
「私と一緒ね」
「今の高校生だとそうだろ」
「皆ね、テレビはね」
これはというのだ。
「観ないわ」
「そうだな」
「だって面白くないから」
咲は眉を曇らせて言った。
「変なバラエティ番組ばかりで」
「ああ、どれも面白くないな」
「酷い報道番組とか」
「今お父さんが言ったキャスターとかが出るな」
「そうしたのばかりでね」
「面白くないのも当然だ」
父は言い切った。
「咲の言う通りな」
「面白い番組作る気ないわね」
「それか視聴者を変に煽るかな」
「どっちにしても碌なものじゃないわね」
「そんなのだからな」
それ故にというのだ。
「皆テレビから去ったんだ」
「観なくなったのね」
「それを観るならな」
それ位ならというのだ。
「本当にな」
「インターネットね」
「そっちの動画を観てな」
「楽しむわね」
「そうするものだ」
「それが今ね」
「巨人だって応援する人減ったのはな」
父はこのことについても話した。
「昔は巨人軍大鵬卵焼きだったんだぞ」
「子供が好きなものって」
「それが今だとな」
「お相撲は大鵬さんじゃないし」
咲はまずはこのことを話した。
「卵焼きは好きな人多いけれど」
「巨人は人気最下位だろ」
「十二球団でね」
「そうなったのもな」
「皆テレビ観なくなったからよね」
「昔はテレビの野球の試合はな」
これはというと。
「巨人ばかりだったんだ」
「今じゃネットでどのチームの試合も観られるしね」
「メジャーの試合だってな」
「大谷選手の試合もね」
「大谷選手が巨人に収まるか」
このあまりにも能力の高い選手がというのだ、ピッチャーとしてだけでなくバッターとしても驚異的な。
「わかるな」
「言うまでもないわね」
「もうあの人は世界の大谷だ」
「巨人じゃとてもね」
「収まるか、もう巨人なんてちっぽけなものだ」
「今はそうね」
「巨人の試合以外も観られるからな」
インターネットではだ。
「だからそこからもな」
「皆テレビじゃなくてネットになったのね」
「他のスポーツもあるしな」
野球以外のというのだ。
「昔は巨人の試合ばかりでな」
「皆巨人応援してたのよね」
「それが今じゃ巨人はそうだ」
十二球団で人気最下位だというのだ。
「実力もなければ人気もない」
「不祥事ばかり出て来る」
「そんなチームになったんだ」
「皆ネットで色々なチームの試合観るから」
「他のスポーツもな」
「そうなったのね」
「巨人のこともその表れだ」
テレビから人が離れたことのというのだ。
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