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星河の覇皇

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第八十四部第四章 続く会談その二十四

「迂闊にはね」
「広い場所で話さないことですね」
「それが大事ですね」
「今は」
「どうしてもですね」
「そうよ、壁に耳があってね」
 伊東は今度は諺を話に出した。
「障子には目があるわね」
「左様ですね」
「世の中はそうしたものです」
「そして政治の場では特に」
「そうしたものですね」
「そうよ、そして手に入れた情報を使う」
 そうしていくというのだ。
「それは日本も同じね」
「確かに」
「我々も常にそうしています」
「各国の動きに耳も目も使っています」
 壁や障子にもというのだ。
「そうしています」
「やはり常に」
「だからですね」
「我々もですね」
「そうよ、ホテルにおいても」
 一見くつろげる場所でもというのである。
「その実はね」
「どうか、ですね」
「それは、ですね」
「普通にスパイがいてもですね」
「おかしくないですね」
「ホテルマンがスパイである」
 伊東はその可能性を素っ気ない口調で述べた。
「そのホテルマンが気付かないうちにそうなっている」
「その場合もありますね」
「見たこと聞いたことをふと漏らす」
「その漏らした相手が問題である」
「そうしたこともありますね」
「そうよ、だからね」
 それ故にというのだ。
「今もルームサービスにしてね」
「防音の部屋にしていますね」
「そして盗聴器も隠した」
「そうしたのですね」
「そういうことよ、誰も入られない様にして」
 目に対しても執るべき手段は執っているというのだ。
「そうしているのよ」
「慎重に慎重を重ねて」
「そうされていますね」
「ここは中国であり」
「そして中央政府の目もあるからですね」
「そうよ、各国の思惑をね」
 それをというのだ。
「知る為にね」
「中国政府もですか」
「目を耳を動かしているわ、そしてもっと言えば」
 伊東はここで牛乳を飲んだ、そしてまた言った。
「中国以外の国もね」
「目や耳がある」
「この星系においても」
「そういうことですね」
「動かしていてね」
 そしてというのだ。
「目を光らせているわ」
「左様ですか」
「だからですね」
「我々は、ですね」
「警戒が必要ですね」
「喫茶店での何気ない話も」
 それをしてもというのだ。
「そこからね」
「見られ聞かれると」
「そこからですね」
「多くのことを知られ」
「そこから付け込まれますね」
「そうなるから」
 だからだというのだ。 
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