八条学園騒動記
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第七百十一話 恐竜達その四
「長い間そうした蔑視を持っていたが」
「欧州は」
「二度の世界大戦を経てな」
「植民地を失い」
「そして今に至る」
「そうなりましたね」
「侮るとその時はよくともな」
それでもというのだ。
「その時だけだ」
「後で、ですね」
「侮っていた連中に覆される」
「そうなりますね」
「だからだ」
「我々はですね」
「決して侮らないことだ」
こう言うのだった。
「いいな」
「敵であっても」
「この子供達がやがて成人してだ」
「働く様になりますね」
「そうなるとな」
子供達が大人になり働く様になると、というのだ。
「大きな力になる」
「連合の」
「連合は何兆もの働き手がいる」
「男女共に」
「それだけの働き手がいるからな」
それ故にというのだ。
「大きな力になっているのだ」
「そういうことですね」
「そうだ、だからこうしてだ」
「子供達の目が明るいということをですね」
「正しく評価してな」
そのうえでというのだ。
「見ることだ」
「そうすべきですね」
「そして今から我々も恐竜を観るが」
大尉は冷静な声で話した。
「設備もな」
「恐竜を収容している」
「そして飼育しているな」
そうしたというのだ。
「設備もな」
「観ることですね」
「いいな」
「わかりました」
上等兵は大尉の言葉に頷いた、そしてだった。
二人で恐竜を観ると頑丈な檻やケースで囲まれた場所にだ。
恐竜達がいた、巨大な彼等はそこでのどかに暮らしていた。それぞれキロ単位のコーナーになっていてだった。
そこで歩いたり泳いだり飛んでいる、上等兵はその状況を見て唸った。
「いや、これは」
「かなりだな」
「そうとしかです」
唸ったまま言うのだった。
「言えない」
「そうだな」
「はい、キロ単位のです」
「場所にな」
「それぞれ恐竜達がいます」
「巨体だからな」
恐竜達はというのだ。
「設備もな」
「広くですね」
「そして最新のな」
「そうしたものでないとですね」
「安全にだ」
その様にというのだ。
「恐竜からも観客からもな」
「飼育出来ないですね」
「そうだからな」
それ故にというのだ。
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