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X ーthe another storyー

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第二十九話 家族その十一

「けれど二番目のことは」
「わからないね」
「彼は彼のまま」
「このことはまたわかるよ」
 そうだというのだった。
「後でね」
「そうなの」
「僕も機会が来れば」
 その時にというのだ。
「話すから」
「そうするのね」
「それでいいかな」
「構わないわ」
 颯姫は無表情でよしと答えた。
「私は無理に言わないから」
「君はそうだね」
「貴方が話したくなったら」
 その時はというのだ。
「その時にね」
「話させてもらうね」
「お願いするわ、それで彼を見て」
「希望が見えてきたから」
 だからだというのだ。
「そうした顔になっているよ、そして君も他の地の龍の皆も」
「運命が変わるのね」
「そうなるとね」
「希望を持って来たのね」
「絶望しか見てこなくてその中にいたのに」
 暗い、何もない闇を思い出しつつ話した。
「けれどね」
「それがなのね」
「今は明るいものが見えているよ」
「それが希望ね」
「白い光だよ」
 牙暁は希望をこう表現した。
「それが今暗闇からね」
「見えてきたのね」
「空にね、そしてその光は」
 希望というそれはというのだ。
「日に日に強くなっているよ」
「貴方の中で」
「そうだよ、だから君も」
「皆と触れ合って」
「遊人さんとね」
「そしてビーストとも」
「そういっていってね」
 こう言うのだった。
「いいね」
「それではね」
 颯姫も応えた。
「そうしていくわ」
「そしてお家に帰って」
「お父さんお母さんとも」
「楽しい時間を過ごしてね」
「楽しい。その感情もわかってきたわ」
 颯姫は無表情だがこうも返した。
「私もね」
「そうなったんだ」
「ええ、気持ちが昂るわ」
「そう、それがだよ」
「楽しみね」
「楽しんで喜んで悲しんで怒る」
 牙暁はそういった感情を述べていった。
「喜怒哀楽、そして愛情や友情を感じる」
「それがなのね」
「人間なんだ」
 こう言うのだった。
「だからね」
「私もそうした感情を知っていって」
「そうして皆と一緒に絆を深めていけば」
 そうすると、というのだ。 
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