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超地球救済戦記!断罪王Ω〈オメガ〉~戦争もやめねぇ!環境破壊もやめねぇ!バカで愚かな人類は身長170センチ以下の無職童貞ニートの俺が全員滅亡させる‼~

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第三百九十二話 潜入 その4

第三百九十二話 潜入 その4
無色主義。
それは何色にも染まらない自由な主義。
そして、この国に『無色主義』による革命を起こすために結成された組織『紅軍連合』。
この物語はカオスと化した敗戦国、新日本に革命を起こすために戦う、若者たちの青春群像劇である。

師匠である案堂ユーコの救出と出世のために、紅軍連合に潜入した尻澤エリコ。
案堂ユーコの死体を山中に遺棄して、潜伏先のアパートに帰ってきた倉都テツオは、自分が出かけていた間に、子島ルルコによって億平テシコが殺害されたことを知る。
倉都テツオは子島ルルコの成長を目的とした新たな『自己反省』を皆に提案。
既存のメンバーたちは皆、この提案に賛成するが、倉都テツオは子島ルルコへの自己反省という名の拷問を、あえて新メンバーたちにやらせることにした。
まだ潜伏先のアパートに来て間もない、新メンバーたちは組織への忠誠を示すために、子島ルルコの足に順番にナイフを刺していく。
その新メンバーの中の一人、尻澤エリコは目の前の異常な光景に嘔吐してしまい、子島ルルコへの『自己反省』ができない。
尻澤エリコの本来の目的を知らない女性主義者の石川ユニは、そんなエリコに対して、厳しい言葉をぶつけた。
「そんなんじゃ、この先やっていけないわよ‼」
「す、すみません...」
倉都テツオからナイフを受け取った、新メンバーの理由地エルが手に持ったナイフを、縄で縛られた子島ルルコの左足の太ももに突き刺す。
「じ、『自己反省』しろッ‼」
左足の太ももにナイフを突き刺された子島ルルコのガムテープでふさがれた口から、苦痛に満ちた呻き声が漏れる。
「ゔゔゔゔ――ッ‼」
倉都テツオがすぐに理由地エルに指示を出す。
「ナイフを上松に渡せ、上松は自分が何をすればいいのか、わかるか?」
「わ、わかってますよ...このナイフで、この裏切り者に『自己反省』をすればいんですよね...?」
「そうだ、それでいい」
上松は恐るおそる、ナイフの刃先を子島ルルコの右足太ももに近づける。
「い、いきますよ...‼」
上松の忠告にたいして、口をガムテープでふさがれた子島ルルコは無駄と知りつつも、頭を何度も横に振って拒否感をあらわにする。
ぐさり。
「ゔゔゔゔゔゔゔゔ――ッ‼」
「よし!最後はお前の番だ!尻澤ァッ‼」
嘔吐した状態からようやく平静を取り戻した尻澤エリコの手に再び、手渡されるナイフ。
尻澤は再びこみ上げる嘔吐感に耐えつつも、ナイフの刃先を子島ルルコの左足太ももに近づける。
しかし、まだ覚悟ができていないのか、ナイフの刃先を子島ルルコの左足太ももに、突きつけることすらできない。
女性主義者の石川ユニが、子島ルルコへの『自己反省』を躊躇する尻澤エリコを説得する。
「尻澤さん、あなたが心の優しい人間だってことはよくわかったわ。でも、これが子島ルルコのためなのよ‼子島ルルコがこうして足にナイフを突き刺され『自己反省』を達成することができれば、子島ルルコは今の状態から解放され、裏切り者から、再び我々の同志に生まれ変わることができるのよ‼この自己反省は子島ルルコを革命活動に携わる人間として次のステージにステップアップさせるために必要不可欠な儀式であり、救済なのよ‼だから、あなたが今からしようとしていることは何も悪いことじゃない‼」
石川ユニの言葉に、倉都テツオも同調する。
「そうだ、石川ユニの言う通りだ‼子島ルルコはこの自己反省での痛みを通して生まれ変わるんだ‼痛みを通して組織の規律を学んだ子島ルルコは今より優秀な戦士になることだろう‼みんな‼みんなで『自己反省』の達成のために、尻澤エリコと、苦痛に耐えている子島ルルコにエールを送ろうじゃないか‼」
潜伏先のアパートのいる、尻澤エリコと子島ルルコ以外のメンバーたちが、一斉に、尻澤エリコと子島ルルコに向かってエールを送る。
「がんばれー‼尻澤ァッ‼がんばれー‼」
「そうよ‼子島さんも痛いだろうけど、頑張って耐えるのよ‼がんばれー‼がんばれー‼がんばれー‼」
「尻澤ァ――ッ‼子島ァ――ッ‼二人ともがんばれーッ‼がんばれー‼」
「そうだ‼ふたりともがんばれ‼『自己反省』の達成のために、がんばるんだ‼」
「子島ァ――ッ‼あともうちょっとだァ――ッ‼がんばれー‼がんばれー‼尻澤も勇気を出してがんばれ――ッ‼」
「がんばれ――ッ‼尻澤ァ――ッ‼子島ァ――ッ‼自己反省を終わらせて一緒に日本を変えようぜぇいッ‼」
「がんばれ――ッ‼がんばれ――ッ‼がんばれ――ッ‼二人ともがんばれ――ッ‼」
子供向け映画の上映会を彷彿とさせる光景に、ナイフを手に持った尻澤エリコはひどいめまいを感じてしまう。
(でも、石川ユニの話が本当であれば、次のナイフの突き刺しで、子島ルルコは解放されるはず‼子島ルルコを救うにはやるしかない‼)
わずなか望みに賭けて、尻澤エリコは子島ルルコの解放のために、子島ルルコの左足太ももにナイフを突き刺す。
ぐさり。
「ゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔ――ッ‼」
尻澤エリコが自らの殻を破った光景に、周りのメンバーたちが一斉に歓声を上げる。
「ゔおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ‼やったぁッ!よくやったぞ、尻澤ァッ‼」
石川ユニが子島ルルコへの自己反省を達成できた尻澤エリコの体を抱きしめ、賞賛する。
「よくやったわね、尻澤さん、これで今日からあなたもみんなの仲間よ‼」
感動の涙を流している石川ユニに、子島ルルコは恐るおそる聞く。
「そ、それよりも、これで本当に子島ルルコさんは助かるんですよね?」
「ええ、もちろんよ‼これで子島ルルコは生まれ変わることに成功したのよ‼あなた達新メンバーのおかげでね‼」
しかし、子島ルルコの縄をほどいていた日加リュージの口から衝撃的な言葉が放たれる。
「し、死んでる...!」
先程の歓声から一転、皆の口から動揺する声が次々と放たれる。
「う、うそだろ...?だって、俺たちが刺したのは足なんですよ...‼」
倉都テツオが冷静に状況を分析し始める。
「おそらく、度重なる暴力による多量出血、そして連続的に与えられた激痛によるショック死だろうな...でも、今回、子島ルルコにナイフで制裁を与えた新メンバーの4人がコレを悔いる必要はない、子島ルルコは億平テシコを殺した殺人犯だ、君たち4人は人殺しを殺しただけだ」
そう、新メンバーたちに両足の太ももをナイフで刺される前から、紅軍連合のメンバーたちに顔を何度も殴られていたことも、子島ルルコの死因の一つになっているはずだ。
本来、子島ルルコを救うつもりで与えた暴力が、子島ルルコを逆に殺害してしまった事実に尻澤エリコは絶望した。
「そ、そんな、それじゃあ、私、人殺しになっちゃったの?ウソよ、そんなの、だって言ってじゃないですか!さっきの暴行が子島ルルコを救うためだって!言ってたじゃないですか‼なのにどうして、こんなことに‼こんなの絶対おかしいわよ‼」
絶望する尻澤エリコの顔面を、倉都テツオが殴って叱る。
「貴様ァッ‼革命活動をいったいなんだと思ってるんだァッ‼俺たち革命活動に参加している人間は、常に死と隣り合わせなんだ‼革命のために人を殺すのが嫌なら、革命活動に参加するなァッ‼今すぐ、『自己反省』しろ‼」
『自己反省』という言葉が、尻澤エリコの脳裏に、子島ルルコへの度重なる拷問の光景をフラッシュバックさせる。
尻澤エリコは自身を襲う死の予感を振り払うように、自分の心を殺して一番使いたくない言葉を反射的に口にしてしまう。
「じ、『自己反省』します...‼」
「何に対してだ‼」
「革命活動による革命実現の過程で敵対する人間達への殺害行為を非難及び忌避したことについて、『自己反省』します...」
「それで、よろしい。尻沢エリコ、他3人の新たな同志も‼ようこそ、紅軍連合へ‼」

次回予告 潜入 その5

※この物語はフィクションです、実在する人物及び団体には一切関係ありません。
『鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤
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後書き
次回もお楽しみに 
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