ハッピークローバー
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第八十七話 妹の受験その十三
「飛田新地あるけれど」
「ああ、あそこだね」
「あそこに行くのもね」
「僕行かないよ」
古田はとんでもないといった顔で答えた。
「あそこはね」
「そうよね」
「あそこ行くなんて」
その顔でさらに言った。
「考えられないよ」
「デートで傍に行くこともね」
「ないない、絶対にないよ」
首を横に振って否定した。
「そんな人いないよ」
「間違ってもね」
「だから通天閣行って」
二人のデートはというのだ。
「それでね」
「その後で串カツ食べるのね」
「新世界でね、そうしよう」
こう言うのだった。
「僕達は」
「そうよね、何か大阪ってね」
理虹は考える顔になって古田に話した。
「ちょっと歩いたら色々な場所あるわね」
「うん、新世界もあればね」
「釜ヶ崎とか飛田新地があって」
「難波もあるし千日前とか船場とか」
「それぞれの場所あるわね、道頓堀も心斎橋も」
「もう自転車でちょっと行ける距離に」
古田は大阪のそれぞれの場所の距離を思い出しつつ話した、東京もそうだが大阪も実に色々な場所がその中にあるのだ。
「あるんだよね」
「色々な場所がね」
「天下茶屋もあるし住吉や住之江だってね」
「あってね」
「南の方もそうでね」
「この辺りもね」
二人も住んでいる団地もというのだ。
「そうなのよね」
「これがね」
「北だと梅田あるしね」
「淀川の方とか大淀とか」
「海の方行っても違うし」
「此花とかね」
「大阪っていう一つの街の中に」
まさにというのだ。
「色々な場所があるわね」
「そう考えると面白いね」
「そうよね、じゃあ通天閣でね」
「デートしようね」
「新世界でね」
「串カツいいしね」
「あのお料理もね」
「私串カツ好きなのよ」
理虹は明るい笑顔で語った。
「豚肉だけじゃなくて牛肉のもね」
「どっちもなんだ」
「海老も烏賊もキスも好きだし」
「じゃあホタテどうかな」
「大好きよ、うずらだってね」
この卵もというのだ。
「好きだしエリンギもね」
「ああ、茸だね」
「あれも好きだし」
それでというのだ。
「結構何でもね」
「食べるんだ、串カツは」
「色々なのをね」
「それ言うと僕もね」
「色々食べるのね」
「それで色々好きだけれど」
古田は笑って話した。
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