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ドリトル先生と桜島

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第九幕その八

「今は靖国神社に魂があって中日もね」
「ドラゴンズだね」
「名古屋の球団だよね」
「所属していたこのチームを」
「そうしているよ、英霊になってね」
 まさにというのです。
「あのチームも護っているよ」
「そうだね」
「今中日今一つって言われてるけれど」
「石丸さんは護ってくれてるね」
「中日も」
「その筈だよ」 
 こう言うのでした。
 その他にも様々なものを観てです、出入り口に戻ってです。
 そこで特攻隊の人達が実際に乗っていた零式艦上戦闘機を見てでした、そこにある二枚の絵を観ましたが。 
 一つは散華した特攻隊の人を天女達が戦闘機のコクピットから天界に引き上げている絵でもう一つはです。
 天国に行ったお婆さんが飛行服姿の英霊の人達に迎えられている絵です、この二枚の絵を観てでした。
 皆まずは沈黙しました、そのうえで口を開きました。
「奇麗だね」
「こんな奇麗な絵がこの世にあるんだ」
「僕達も色々な絵を観てきたけれど」
「この上奇麗だよ」
「最高の絵だよ」
「そうだね、人間が描いた絵の中でもだよ」
 先生も言います、皆感銘しきっています。
「最高のものの一ついや二つだね」
「そうだよね」
「最高の二枚の絵だね」
「この絵は」
「本当にね」
「この二枚の絵を観られてよかったよ」
 先生はこうも言いました。
「鹿児島に来てね」
「本当にそうだね」
「どんな巨匠の絵にも負けてないよ」
「最高の絵達よ」
「本当にね」
「このお婆さんがだね」
 チーチーは先生に言いました。
「特攻隊の人達に最後のご馳走をした人だね」
「卵丼をあげた人だったね」 
 食いしん坊のガブガブも今はしんみりとしています。
「当時は食べものもなかった中で」
「そうして特攻隊の人達の為に尽くした人だね」
 トートーも言います。
「素晴らしい人だね」
「死にに行く人の為に動くなんてね」
 心から言ったのはジップでした。
「そうそう出来ないからね」
「見ているだけで辛かったでしょうに」
 ダブダブはお婆さんのことを思いました。
「ずっと寄り添ってあげたのね」
「そして見送ったんだね」
「英霊の人達を」
 チープサイドの家族は英霊の人達に迎えられるお婆さんの絵を観つつ言いました。
「最後の最後まで」
「靖国に行く時まで」
「この人がいてくれたから」
 しみじみとです、ポリネシアは思いました。
「特攻隊の人達もどれだけ嬉しかったか」
「覚悟は決めていてもね」
 老馬は特攻隊の人達のそれから言いました。
「やっぱり誰かいてくれたら嬉しいからね」
「この人の行いがどれだけ素晴らしいか」 
 ホワイティはしんみりとなっています。
「言葉では言い尽くせないね」
「そしてそのお婆さんを描いてくれるなんて」
「この場所に飾ってくれるなんてね」
 オシツオサレツも言いました。 
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