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八条学園騒動記

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第七百八話 連合の狼その九

「放牧をしている」
「そうした文化ですね」
「モンゴルはな、だが連合の殆どの国ではな」
「家畜は牧場に入れますね」
「広いな、柵には電流を走らせ」
「番犬も置きますね」
「だから狼も来ない」
 そうなるというのだ。
「また他の獣もな」
「来ないですね」
「そうだ、それで畑を荒らす生きものを食べるのだ」
「ならばですね」
「狼は有り難い」
「そうした生きものになりますね」
「そういうことだ、尚モンゴルでは家畜を食べられてもな」
 そうなってもというのだ。
「天の取り分だということでな」
「怒らないのですね」
「何しろ自分達の祖先だしな」
 そう考えられていることをここでも話した。
「青き狼だ」
「自分達の祖に怒る筈がない」
「そうだ」
 まさにというのだ。
「そういうことだ」
「そういえばモンゴルはよく狼に例えられますが」
「国家を生きものにするとな」
「アメリカは鷲、中国は龍で」
「モンゴルはそうなるな」
「そうした状況では」
 上等兵は言った。
「狼を嫌っている筈がないですね」
「あの国でもな、兎角連合ではな」
「狼は嫌っていないですね」
「むしろ有り難い生きものになる」
「それも文化ですね、しかしこうして見ますと」
 上等兵はまたニホンオオカミを見て言った。
「犬とです」
「変わらないな」
「巷の」
「私も思う、尚日本の犬は狼に近いものが多い」
「種類として」
「それは外見でわかるな」
 ここからというのだ。
「秋田犬や柴犬、甲斐犬はな」
「そういえばそうですね」
「これ等の犬は狼に近いな」
「その姿は」
「ニホンオオカミを家畜にしてな」
 そうしてというのだ。
「そこからだ」
「犬になったので」
「その姿はな」
「狼に近いのですね」
「同じ日本の犬になると狆はな」
 この種類の犬はというと。
「かなりだ」
「狼から離れていますね」
「そうなっている」
「同じ犬でもですね」
「そうだ、尚狆は愛玩用だが」
 完全なそれの為の犬だがというのだ。
「秋田犬達は狩猟用だ」
「だから余計に狼に近いですね」
「柴犬は気性も荒いしな」
「よく吠えて」
「そして攻撃して来ることもな」
 このこともというのだ。
「よくある」
「そうした犬ですか」
「連合全体で人気の犬だが」
「気性は荒いですか」
「元々狩猟犬だからな」
 このことがあってというのだ。 
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