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第八十六話 海遊館に二人でその一

                第八十六話  海遊館に二人で
 留奈は伊東と団地の前で待ち合わせをしてそこから一緒に駅に行って電車に乗った、そのうえで海遊館に行ったが。
 海遊館に来てだ、留奈はこんなことを言った。
「天王寺動物園とここっていいわよね」
「色々な生きものがいてね」
「凄くね、それでね」
 留奈はさらに言った。
「私ここに来るの久し振りで」
「余計に嬉しいんだ」
「そうなの」 
 こう言うのだった。
「だから楽しみましょう」
「色々な生きもの観てね」
「何かね」
 留奈は伊東と一緒に海遊館の中を歩きはじめた、そうして様々な生きもの達を観ながら彼に言うのだった。
「こうした場所って生きものの保護にいいのよね」
「動物園もね」
 伊東もこう答えた。
「だってこうした場所だと安全だから」
「それでよね」
「そういうのにいいんだ」
 そうだというのだ。
「それでね」
「それで?」
「研究にもいいんだ」
 それぞれの生きもの達のというのだ。
「いつもいるからね」
「だからよね」
「こうした場所っていいんだよ」
「そうよね」
「けれどね」 
 ここでだ、伊東は。
 顔を顰めさせてだ、こんなことを話した。
「こうした場所は駄目だって人もいるよ」
「水族館や動物園が?」
「狭い場所にいつも押し込めてるからって」 
 そうしているからだというのだ。
「それでね」
「ああ、虐待だって」
「そう言ってね」
「それでなの」
「水族館や動物園は廃止しろってね」
「言う人いるのね」
「しかもそうした人の意見がね」
 伊東は眉を顰めさせたままさらに話した。
「通ったりするんだよ」
「そんな意見滅茶苦茶でしょ」
「いや、滅茶苦茶でもね」
 良識ある者からはそう思われる様な暴論でもというのだ。
「一人でも言うとね」
「それが通るの」
「ほら、公園閉鎖しろとか遊ぶとか」 
 留奈にこうした事例を話した。
「除夜の鐘慣らすなとか」
「そういうのって学校の先生だった人がよく言うのよね」
「一人でもそんな人がいて」
 実際に長野県の公園が元大学教授一人の意見で閉鎖されている、多くの人達の意見は無視されてである。
「その人がどんな人でもね」
「手を挙げて言ったら」
「それでだよ」
「その人の暴論が通るのね」
「今そんなところがあるんだよね」
「それで水族館や動物園が廃止されるとかね」
 留奈はここまで聞いて怒って言った。
「もうふざけるなよ」
「そう思うよね」
「だってね」
 それこそというのだ。
「生きものの保護や研究にいいのよね」
「そうだよ」
「それならね」
「ないと駄目だよね」
「それにそんなこと言ったら反論したら」
「そんなこと言う人は自分だけが正しいでね」
 伊東は留奈に話した。 
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