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ハッピークローバー

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第八十四話 映画を観てその十二

「怨霊になったんじゃない?」
「そうか?」
「そう思ったけれどね」
「それならあるか、しかしな」 
 越智は考える顔のままこうも言った。
「東京と姫路で同じ様な話があるのもな」
「不思議なことね」
「そうだな」
「言われてみるとな、あとね」
 富美子は眉を顰めさせて越智に今度はこんなことを言った。
「怨霊って相手によってはお話しても」
「祟りかねないものもあるな」
「そうよね」
「あるな、俺も今そう考えていてな」
「お話に出してないものもあるの」
「皿屋敷位ならいいだろうけれどな」
 それでもというのだ。
「早良親王も」
「あの方も」
「他の怨霊はな」
「お話に出すだけでも危ないわね」
「ましてそうした人達が祀られている神社とかでな」
 その怨霊を鎮める為のだ、日本ではそうした神社も存在しているのだ。鎮め神として祀るのである。
「そこでな」
「馬鹿なことしたら」
「本当に危ないな、舞台とか映画で扱っても」
「そうしたところにお参りしたりね」
「そんなこともするしな」
 日本ではこうしたこともあるのだ。
「本に書くにもな」
「注意しないと駄目ね」
「祟られるっていうのはな」
「本当にあるのね」
「そうみたいだからな」
「怨霊、人間こそ一番怖いのね」
「大阪にも幽霊の話あるだろ」
 越智は真顔で話した。
「何処とは言わないけれどな」
「ああ、あるわね」
 富美子はここでピンときて応えた。
「凄いところがね」
「そうだろ」
「あそこの話も本当かしら」
「そうかもな、親父が言うにはな」
 越智は自分の父は、と話した。
「ギリギリで言うな、デパートのな」
「南の方のね」
 富美子もギリギリで応えた、彼女も真顔だ。
「昭和のね」
「あの時の話はな」
「実際なの」
「みたいだな」
「見た人いるの」
「らしいな、親父の年代じゃ有名らしいぞ」
 その頃生きていた大阪の人達から見ればというのだ。
「どうもな」
「そうだったのね」
「それでな」 
 越智はさらに話した。
「あの辺りではタクシー停めようとしてもな」
「停まってくれないの」
「そうらしいぞ」
「そうなのね」
「大体あそこの地名もな」
 大阪の南の方のそこのそれもというのだ。
「お経をな」
「あれだけ詠んだの」
「そうらしいからな」
「そこからあの地名なのね」
「ああ、しかしな」
 それでもというのだった。
「京都にこうした話が多いけれどな」
「大阪にもあるのね」
「それでも大阪城にはないな」
 この城にはというのだ。
「別に」
「ああ、ないわね」
 富美子は今度ははっとした顔になって応えた。 
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