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ハッピークローバー

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第八十四話 映画を観てその三

「食べたくなるわよね」
「ハヤシライスもな」
「オムライスもそうだけれどね」
「カレーだってな」
「ハヤシライスもね、それでね」
 さらにだ、富美子は言った。
「オムライス食べたら食べようかしらってね」
「おい、それは無理だろ」 
 越智は富美子の今の話に顔を顰めさせて応えた。
「流石に」
「無理かしら」
「このオムライス大きいぞ」 
 まさに特大サイズである。
「女の子が食ったらな」
「お腹一杯ね、そうね」 
 富美子も言われて考えなおした。
「これだけ大きいと」
「ジュースも飲んでるしな」
 越智はコーラ、富美子はメロンソーダを飲んでいる。
「それじゃあな」
「ハヤシライスは止めた方がいいわね」
「ああ、俺はまだな」
「食べられる?」
「そうかも知れないけれどハヤシライスはな」 
 オムライスの次にというのだ。
「ちょっとな」
「止めるのね」
「ホdトッドグ位にするよ」
「ホットドッグね」
「それかサンドイッチだな」
「そういうのにするのね」
「ああ、軽いのにな」
 オムライスの後に何か食べてもというのだ。
「そうするな」
「そうなのね」
「オムライスって軽く食べられてもな」
 それでもというのだ。
「ボリュームあるし特にな」
「私達が今食べてるの特大だしね」
 見れば皿も大きい。
「それだとね」
「ああ、流石に入らないだろ」
「そうよね、じゃあ止めるわ」
「そうした方がいいな」
「考えてみれば最近太ったし」
「全然変わらないだろ」
「一週間前に測ったら一キロ増えてたの」
 越智にこう返した。
「実はね」
「一キロ位何でもないだろ」
「それが違うのよ」
 富美子は力説した。
「女の子にとってはね」
「その一キロが大きいんだな」
「そう、一キロ違うだけでね」 
 それこそという言葉だった。
「天と地程ね」
「違うんだな」
「そう、だからね」
「オムライスで止めるか」
「そうするわ、メロンソーダも飲んでるしね」
「外国の奴皆日本の女の子は体重気にし過ぎるって言うけれどな」
「それが日本の女の子よ、太ってることはね」 
 このことはというのだ。
「絶対によ」
「嫌なんだな、食べたくても」
 それでもというのだ。
「それでも」
「そうなのよ」
「前に言わなかったか、だったら太らないな」
「カロリーの少ないもの食べればいいのね」
「ああ、オムライスだってな」
 二人が今食べているそれもというのだ。 
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