私の 辛かった気持ちもわかってよー
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「今度の日曜 キラちゃんが京都のジュニァの部で優勝したから、お祝いで集まろうとなったんだよ 御苑でな 来るだろう?」と、9月も終わろうという時に白木屋君から連絡があった。
「へぇー キラちゃん やるねー 行く!」
「今度は、弁当屋で買っていくから、用意しなくても良いよ」
近くの駅で待ち合わせをした時、私はスェード調のブラウン系のサイドベルトのラップスカートで行ったのだけど、亜里沙も同じようなもので、顔を見合わせて、お互いが少し笑ってしまった。だけど、私の脚は褐色に日焼している。
「山葵 そこで マーボー丼買ってきた 嫌いじゃぁないだろー?」と、白木屋君が
「うん おいしそー キラちゃん おめでとう 優勝って すごかったね」
「ありがとうございます でも、地域のコンクールなんですよ 山葵さんも すごい活躍で・・ あこがれです」と、キラちゃんは、今日も可愛いかった。白地にピンクのストライブでサスペンダー付きのフレァーなミニスカートの裾を翻らせていた。そして、一緒に居る進藤智則《しんどうとものり》という男の子を紹介された。
「ほらっ チラっと話したろー 泳ぎに一緒に行ったの 中学では野球部だったんだけど、今は僕らと同じ帰宅部 あっ 将棋同好会か 亜里沙とはそこそこらしい」
「へぇー 亜里沙と・・・良かったネェー 亜里沙」と、言うと亜里沙は照れながら、私の腕をこついてきていた。
芝生に座ってお弁当を広げたのだけど、なんにも用意しなくていいよと聞いていたけど、キラちゃんはフルーツサラダを皆に持ってきていたのだ。
「山葵 夏に初めて樹羅から聞いたんだけどな 去年の秋 1年生の教室なのにわざわざ来て、何人かを集めて、山葵のあの時のことを細かく話してる奴が居たんだって テニス部の奴らしいって 確か 素行のあんまりよくない奴 後輩に居たよなー?」
「うーん 矢田花音《やたかをん》のことかなぁー」
そーいえば、あの子は私に反感持って居るかもー。私が3年の夏前に、次のキャプテンを決める時、実力的には抜きんでていたんだけど、練習はよくさぼるし、素行も良くなくて、外では不良高校生なんかと遊んでいて、そのことを自慢げに1年生なんかに話して、誘っている様子だったので、私はキャプテンにふさわしくないと、実力は無いけど後輩の面倒見の良い子をと押したのだ。だから、私のことを憎んでいるというのを聞いたことがあったのだ。
「山葵 そんなこと言われるような 心当たりあるのか?」と、山水が聞いてきたけど
「うーん どうだろー ウチはそんなに悪いことしてないつもりなんだけど もっと 話合っとけば良かったんかなー」
「山葵 ウチもなー クラスの人が、あの時のこと話してるの聞いたことがあるねん 山葵から男の子を誘ったらしいって テニス部の子が言ってるんだから本当よ って だけど、他人の話やし、信用できひんしー ウチ 山葵にはそのこと言われへんかってん」と、亜里沙が申し訳なさそうに言ってくれて
「・・・そう・・・あの時、みんなが守ってくれたから、あんまり広がらへんかってんな ありがとう・・・ キラちゃん 矢田って子 まだ 学校に居る?」
「うーん そーいえば 今年になってから見かけへんなー」
「山水 ごめんな 山水の言うとおりやった ウチ 確かめもせんと・・ 先輩のこと疑ってしもーてー」
「いや あの時の山葵の気持ち わからへんかった 僕も悪いんやー ごめんな」
「おーおぉー そこから イチャイチャ始めるんか?」
「白木屋のバカ 君は、キラちゃんのほうだけ見てたらええのー ほらぁー キラちゃんの髪の毛に芝生ついているよー 取ってあげなさいよーぅ」
「うっ どれっ ・・・ 何もついてへんやんけー 山葵ぃー あっ 山葵こそ 頭に虫がー」
「えぇー やだー」
「違ったぁー 髪留め かぁー」
私は、膝にかけていたハンカチを投げつけていたのだ。私には、素敵な仲間達。
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