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ハッピークローバー

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第八十三話 映画館へその十四

「いつもこだわるのよね」
「フランス文化にもな」
「そうなのよね」
「それはな」
 どうしてもとだ、越智は話した。
「仕方ないな」
「そうよね」
「それはな」 
 どうしてもというのだ。
「あっちでそうした教育受けて来てな」
「日本に来たから」
「それでだよ」
「そうね、けれどフランス語を喋るのは」
 それはというのだ。
「フランスとね」
「フランスの植民地だった国だな」
「けれど植民地だった国も」 
 それもというのだ。
「ベトナムとかね」
「ベトナム語喋るからな」
「けれど中南米だと」
「本当に殆どスペイン語だからな」
「何億もの人達がね」
 その彼等がというのだ。
「喋るからね」
「桁が違う」
「そうなのよね」
「だからな」
「八条百貨店の映画館でも」
 こちらでもというのだ。
「字幕はスペイン語ね」
「フランス語じゃなくてな」
「そうよね、まあフランス人でもスペイン語わかるし」
「方言位の違いだからな」
「イタリア語やポルトガル語ともね」
「それでもいけるな」
「そうなのよね」
 これがというのだ。
「スペイン語って凄いわね」
「通じるって考えるとな」
「ただスペイン自体は他にも言葉あるのよね」
「カタルーニャ語とかバスク語とかな」
「バスクっていうと」
 富美子はこの地域の名前を聞いて言った。
「バスク人で」
「ああ、うちの学園にもいるな」
「そうよね」
「ゲバラもな」
 キューバ革命の英雄である彼はというのだ。
「そうだったんだよ」
「それ私も聞いたわ」
「あの人もな」
「バスク人だったんだよ」
「そうだったのね」
「あそこから移住した人達の子孫なんだよ」
 スペインのバスク地方から中南米に移住したというのだ、尚ゲバラの出身はキューバではなくアルゼンチンである。
「あの人はな」
「そうだったのね」
「それでバスク人はな」
 その彼等はというのだ。
「バスク語をな」
「喋るのね」
「元々この言葉を喋ってたんだよ」
「スペイン語じゃなくて」
「カタルーニャの人達もな」
 その彼等もというのだ。
「そうなんだよ」
「あっちの人達はカタルーニャ語ね」
「その言葉が元々だけれどな」
「まあスペイン語喋られるわね」
「それで読めるからな」
「スペイン語の字幕も出してるのね」
「八条百貨店の映画館でもな」
 こちらでもというのだ。
「そうしてるんだよ」
「そうなのね」
「ああ、じゃあ」
「ドラえもんとサンタさん観ましょう」
「そうしような」
 デートでとだ、こう話してだった。 
 富美子はその日越智とさらに話して何時行くかも決めてだった。
 デートに行くことにした、そしてその日を楽しみに待つのだった。


第八十三話   完


                   2023・4・23 
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